鹿島・狭霧 & 白姫・環

●『アニマルなクリスマスパーティー2011』

「わぅわぅ♪」
「〜♪」
 華やかな電飾やオーナメントでドレスアップしたクリスマスツリー。その周りを柴犬とペンギンが駆け回っている。
 トナカイの飾り角をつけた柴犬とサンタ帽を被ったペンギンが。
「定吉もペギィも大はしゃぎね」
 その微笑ましい光景に狭霧が楽しげに笑った。
「じゃあ、このプレゼントで更に大はしゃぎっすよ♪」
 環が取り出した可愛くラッピングされた箱。その蓋を環自らが開けると――、
「チュ?」
「チューチュー!」
 箱から何匹もハムスターが飛び出してきた。
「わぁ♪」
 驚いて楽しげな声を上げる狭霧。
「ボクのハムスター部隊から新しい分隊がいっぱいできたんで、プレゼントっす」
 つまり、環の飼っているハムスターに子供が生まれたので、その子供を連れてきた、という事らしい。
「わふ?」
 定吉はハムスターをくんくんと匂いを嗅いだり興味深そうだ。ペギィもじっと見つめている。
「チュー?」
 自分達を見つめる大きな瞳にハムスターは、きょとんと見上げていた。
「ふふ、仲良くするのよ?」
 狭霧がハムスターを見つめる定吉とペギィに笑顔で言い聞かせる。
「わふ♪」
 狭霧の言葉に元気良く返事をした定吉が、ぱくっと1匹のハムスターを頭から口の中に入れた。
「あああーっ! 定吉! ダメっす!」
「こら! 定吉! 餌じゃないわ!」
 環が慌てて叫ぶ。狭霧はペシっと定吉の頭を軽くチョップした。チョップされた定吉の口からペッと吐き出されたハムスター。ハムスターは自分に何が起こったのか分かっていないのか、きょとんとしている。
「チュ! チュチュー!」
「――っ!!」
「今度は何!?」
 騒がしいハムスターの声に今度は何事なのかと見ると、ペギィとハムスターの間に火花が散っていた。
 くちばしでハムスターをちょんちょん軽くつつくペギィ。そのくちばしに噛み付くハムスター。くちばしを噛み付かれて声にならない叫びを上げるペギィ。
「あははは、みんな元気っすねー♪」
 柴犬とペンギン、それにハムスターが何匹も加わった小さな動物園のような光景。ハムスターを連れてきた環は満足げに笑う。
「もう! 仲良くしなさーい!」
 聖なる夜に狭霧の絶叫は響き渡った。



イラストレーター名:杜乃