●『学校でデート:二人だけのクリスマス』
昼過ぎ。宮と詩歌が制服姿で登校すると、学校のあちこちでクリスマスパーティーが行われていた。 「制服……改めてみるとよく似合っていますね……普段はいつも意識はしないですが、綺麗ですよ」 お互いに制服姿は珍しい。詩歌は、宮を見つめ率直な気持ちを伝える。 「ありがと! 詩歌くんもカッコええで♪」 少し頬を染めて詩歌を見上げた宮は、嬉しそうに言った。 賑やかな雰囲気で準備をしている場所を通り過ぎ、二人で誰もいない教室の鍵を借りる。 冬の廊下はとても冷えていて、教室の前まで来ると、詩歌は寒そうに宮へ身を寄せた。 「一緒に入りませんか」 宮も寒かったので、二人は寄り添って教室の中へ入った。お互いの温もりに少しだけほっとする。 詩歌の様子を見て、宮は用意していたプレゼントを取り出した。 「これな……頑張って編んでみたんやけど……」 言いながら、所々出来ていない手編みのマフラーを詩歌へ差し出す。 詩歌は、心のこもったマフラーを受け取り、その暖かそうな手触りに目を細めた。 「あったかくていいですね、ありがとうございます」
宮は、窓際の机を寝転がれるように並べて端っこに座った。 「詩歌くん、ほら寝転がって♪」 そう言いながら、自分の膝を示して詩歌を呼ぶ。 詩歌は、マフラーを胸に机へ上がり、宮の膝に自分の頭を預けるようにして横たわった。 机が少し冷たかったが、宮の膝は暖かい。 宮が頭をなでてくれ、詩歌は心地好い気分になる。 「この膝枕は心地よいですね……日ごろの疲れも取れます」 宮はふと思いついた顔をして、眼鏡と髪をまとめていたゴムを外した。 ふわり、と髪が背中へ広がる。 「あぁ、おろしたのもとてもよいですね……私はそういうのも好きですよ……」 詩歌は言いながら、宮の頬に触れる。 (「私は彼女の色々な可愛い姿が見れて幸せです」) そう思いながらマフラーを優しく抱きしめ、詩歌はうとうとしつつ囁いた。 「ずっとずっと一緒にいましょうね」
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