日下部・真昼 & 静島・茅

●『Teddy bear,Teddy bear,That will do.』

 のっそのっそと、クマが動いている。
 ……クマっ!?
 いや、違う。これは静島・茅(紡ぎ手・b45688)がサンタ仕様のクマの着ぐるみを着て、重大なミッションの最中なのだ。
 日下部・真昼(織り手・b49306)が寝ている間に、プレゼントのぬいぐるみ(もちろん、クマ)を置いてくるのだ!
 ちょこんと、真昼の横にプレゼントを置いて、ミッションコンプリート!
 後はこのまま、この部屋を出て行けば、完璧だ。

「よし、起きてないね」
 小さく呟いて、茅はそのもふもふのクマの手で、真昼の頬を撫でていたら。
「!」
「……?」
 なんと、うっかり真昼を起こしてしまったではないか!!
 だが、不幸中の幸い、真昼の焦点はまだ定まっていない。
 このまま誤魔化せば、なんとかなるはず。
(「大丈夫、こういう時の為のクマ扮装だよ。「中の人なんていないよ」という表情をすれば大丈夫!」)
 じりじりと後退しようとしたところに。
「今のもふもふは……野生の野良モラですか? 生憎うちには蜘蛛童がいますからモラは……」
 ……寝ぼけている。明らかに寝ぼけているだろう。
(「寝ぼけてるのか、素ぼけなのか判断が難しいところだが……」)
 だが、今のうちに脱出すれば……!!

 かちっ。
 そんなスイッチ音と共に、ついてしまったのは部屋の電気。
 どうやら、茅の背に電気のスイッチが当たってしまったようだ。
 とたんに部屋が明るくなってしまった。
 真昼と茅の目が合った。
「これは!」
 そう叫ぶ真昼に、茅はとっさに身振り手振りで、中の人なんていないよと訴える。
「まさか、そんな煙突のない我が家にサンタがいらっしゃるはずは」
 真昼はそのまま、部屋の外を見てみた。ドッキリ札を持った茅が隠れている様子がないことを見ると、これは、現実なのか?
「それでは、これはプレゼント……」
 枕元に置いてあるクマのぬいぐるみに、思わずダイブしてしまう真昼。
(「喜んでるみたいで良かった」)
 その様子に満足した茅は、つい、ぬいぐるみに抱きついてる真昼の顔を撫でてしまった。
「……?」
「……」
 真昼はもしやと思い、蜘蛛族感知を使って……。
「……茅様!」
「やあ、メリークリスマス!」
 その後、結局誤魔化せなかった茅は、真昼に捕まって、もふもふの刑にされていたのはいうまでもない。



イラストレーター名:そらみみ