<わにわにパニクル>
マスター:黒柴好人
銀誓館学園のとある空き教室で、紙パックの牛乳をちるちる飲みながら一人の少女が、能力者たちが集まるのを待っていた。
「皆さん集まりましたか?」
少女――藤崎・志穂(高校生運命予報士)は、先ほどまで口を付けていた牛乳パックを近くの机の上に置き、姿勢を正して能力者たちにぺこりとお辞儀をする。
「はじめまして、運命予報士の藤崎志穂です。よろしくお願いしますね」
早速ですけど、と切り出して志穂は牛乳パックを手に取る。
「ある街の下水道に、大きなワニ妖獣が現れました」
そのワニ妖獣の体長はおよそ4m。深い緑色をした鱗を纏い、4つの赤い目を持つという。
「下水道は意外と広くて戦う分には困りません。殺風景であんまり綺麗なところではないですけど」
ちょっと困ったような笑い顔を浮かべる志穂。
内部は幅6m、水深2.5mの水道と、その脇に幅2mの通路がある。ワニ妖獣は普段この水の中を泳いで移動している。
しかし、定期的に通路に頭を乗り出す事があるらしい。
今のところ4ヶ所、頭を出すポイントがあり、気ままに出たり引っ込んだりを繰り返している。
各ポイントはそれぞれ15mほどの間隔が開いているが、うまく役割を分担して戦えばそれほど苦戦はしないだろう。
「理由はよくわかりませんけど、攻撃するチャンスですよね。ひょっこり出てきたところをぽかっと叩いちゃってください! あ、水の中で戦うのはあまりお勧めしません。ワニ妖獣は水中だととっても素早いんです。それに水、汚いですから……」
余程の自信が無い限り、水中のワニ妖獣には手を出さない方が無難。志穂はそうアドバイスした。
「ワニ妖獣の最大の武器は牙です。がばっ、と大きな口を開けて襲ってきますよ。……ちょっと怖いですね。噛まれると痛いじゃすみませんから」
そこまで言うと、志穂はストローに口を付けて一息入れる。
「被害は幸いにもまだ出ていません。でも、放っておくと下水道を遡って、民家やどこかの施設に現れるかもしれません。そうなる前に倒しちゃってくださいね」
飲み終わったのか、パックを几帳面に潰し始めた。
「そうだ。ワニ妖獣を倒し終わった後で銭湯なんてどうですか? 確か現場の近くに色んなお風呂があるスーパーな銭湯があったはずですから、そこで疲れを落としていくのもいいですよね」
戦闘の後に銭湯?
なんてベタな。なんて思ってはいけない。いけないぞ!
「では、頑張ってきてくださいっ!」
志穂はにっこりと笑って能力者たちを送り出した。
<参加キャラクターリスト>
このシナリオに参加しているキャラクターは下記の8名です。
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