瑞月・千歳 & 瑞月・百実

●ドキドキプレゼント交換

 その日の前日。
 千歳はたった一人の妹のために、素敵なプレゼントを探していた。
「うーん、やっぱりさっきの店の方がいいかも……」
 商品の感触を確かめつつ、千歳は呟く。
 そして妹の百実の喜ぶ姿を思い浮かべた。
 思わず、千歳の顔が綻ぶ。
「すみません、これください」
 可愛らしいラッピングもしてもらい、千歳は目的の物を手に入れた。

 その頃、百実も。
「どれが良いかな? なんだか迷っちゃうよ〜」
 あるお店できょろきょろと目的の物を探していた。

 きゅぴーん!!

 百実と、『それ』と目が合った。

「これだぁーーっ!!」
 どうやら、百実も目的の物を手に入れる事に成功したようだ。


 そして、当日を迎える。
「メリークリスマス、ちーちゃん♪」
「メリークリスマス、もも」
 二人はにこやかにそう言って、自分の持ってきた物を取り出した。

 今日は素敵なクリスマスの日。
 クリスマスといえば、プレゼントだ。
 そう、二人はお互いに交換し合う、素敵なプレゼントを用意していたのだ。

「はいどうぞ♪」
「ありがとう、もも」
 二人は順番にプレゼントを渡し、さっそく開けてみる。
「わーい、このウサギのぬいぐるみ可愛いよ〜。ふかふか〜」
 百実は、千歳の選んだプレゼントに大喜びだ。
 さて、千歳のプレゼントは……。
「…………??」
 袋から現れたのは、緑色のちょっと変わったぬいぐるみ。
(「……これ、子供向けの漫画に出てくる怪獣……?」)
 千歳の頭の中では、貰ったぬいぐるみが町の中をぎゃーすと炎を吐いて歩く姿が浮かんでいた。
「あ、それはエリマキトカゲのぬいぐるみだよ、ちーちゃん」
 うさぎのぬいぐるみをぎゅっと抱いて、百実は続ける。
「一生懸命選んだの。……どう?」
 どきどきしながら、百実は首をかしげた。
「あ、エリマキトカゲなんだ……あ、ありがとう、もも。ん……嬉しい、よ……」
 ちょっぴり微妙な顔を浮かべながらも、千歳はしっかりと礼を述べた。
「気に入ってくれてよかった〜……部屋に飾ってね?」
「あ、ああ……」
 そして、とびきりの笑顔で百実は言った。
「ちーちゃんも、プレゼントありがとう!」

 ……ももの嬉しそうな顔を見ていたら、私まで幸せな気持ちになれるから、不思議。

 いつの間にか微妙な表情を浮かべていた千歳の顔に、笑顔が戻ったのは言うまでも無い。




イラストレーター名:ちー