●Winter Wonder Land
夜の街を彩る、様々なイルミネーション。
今、街の中は光の国のように輝いて見えた。
「綺麗じゃな……ダーリン」
にこっと優は隣にいる陣を見上げた。
優のリボンとツインテールが、愛らしく揺れる。
「ああ、そうだね」
陣は優に微笑んだ。
今、優は可愛らしいサンタコスチュームを着ていた。
サンタコスチュームといっても、それはどちらかというと、女性が喜ぶようにファッション性を持たせたもので、普通の暖かい赤い服といっても良かった。
つまりは、この時期だけでなく、寒い時期ならいつでも着られそうな、可愛らしい服だという事だ。
ふわふわしたボアに揺れるリボン。
「ん? ダーリン?」
そう言って首を傾げる優が更に可愛らしく見える。
「ちょっと、いいかな?」
ふわりと、優の体が宙に浮かぶ。
いや、違う。
「にゃっ!!」
気が付けば、優は陣の腕の中に抱きかかえられていた。
そう、どんな女の子も一度は憧れる、お姫様抱っこである。
「だ、ダーリンっ。そ、その、は、恥ずかしい……のじゃ……」
「そう? 可愛い優の顔が、こんな間近で見られるのに」
私は嬉しいよと微笑む陣に、優は慌てながら頬を染めていった。
陣は少しずつ歩き始めた。
「寒くない?」
「へ、平気……じゃ……」
陣が先へ進むにつれて、優は次第に落ち着きを取り戻していく。
いつの間にか寄り添うに。
と、陣と優の唇が重ねられた。
「あっ……だ、ダーリン……」
耳まで真っ赤にさせながら、優は声を上げた。
陣はその様子に微笑んで。
「メリークリスマス」
ちらちらと雪が降ってきた。
イルミネーションの光に重なるかのように、雪も輝きだす。
いや、雪だけでなく星までも。
二人の見上げる夜空に、小さな星が流れていった………。
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