●伝えたい想いを君に
「メリークリスマス♪」
その声と共に、がらりと戸が開いた。
表れたるは、赤いサンタクロースの服を着た北斗。
「……随分、早起きなのね」
眠そうに目を擦りながら、絶佳は布団から起き上がった。パジャマ姿で、北斗の方へ向かう。
部屋に入ってくる外の風が、いつもよりも冷たく感じる。
ちなみに、今の時間は朝の5時。明らかに早起きだろう。
と、絶佳の目の前にきらりと光る何かが揺れた。
「……プレゼント?」
サンタの北斗が差し出したもの。
それは羽を模した、可愛らしいシルバーネックレスであった。
このシルバーネックレス。実は北斗の従兄弟のお兄さんにシルバーアクセサリーの作り方を教えてもらって、作成したものであった。
(「……色々拙いところ多くてちと恥ずかしいけど。喜んで貰えたら嬉しいや」)
少し照れたような表情で、北斗はそのネックレスを絶佳に渡した。
「……私に?」
「ああ」
耳まで真っ赤になっている北斗を見て、絶佳は思わず笑みを浮かべる。
「……せっかくだから、今、つけてくれるかしら?」
「え? つけてくれ?」
「今日は何の日、だったかしら?」
北斗の言葉は絶佳の言葉にかき消される。
「うううっ……了解……」
そう、今日は絶佳の誕生日でもあったのだ。
北斗は更に頬を染め、小さなアクセサリーの金具に苦心している様子。
きちんと取り付けられるまで、5分ほど掛かった。
絶佳の首に、綺麗なネックレスが揺れた。
「……有難う、北斗。大好きよ」
もう一度、微笑み、絶佳は北斗の頭を撫でる。
幸せそうな笑みを浮かべながら……。
(「今まで生きてきて、一番のプレゼントだわ。有難うね」)
絶佳は、心の中でそう呟くのであった。
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