●〜 暖かな帰り道 〜
鞠ちゃんはまるで妹のような、すごく可愛い大好きなお友達。
鞠ちゃんと一緒にクリスマスを過ごせて、幸せなの。
楽しかったクリスマスパーティーも終わり、二人は仲良く自分の家へと帰っていく。
「鞠ちゃん、クリスマスのキャンドルの灯、すごく綺麗だったね」
「はい、早苗先輩! とっても素敵でしたのん! 暖かくて、優しくて……」
鞠は、つい先ほどまで見ていた、綺麗なクリスマスキャンドルを思い出した。
そのキャンドルの灯りが、目の前にいる早苗と重なる。
そう、自分の手が届かない早苗のように……。
ぎゅっと手を握る。
いや、握り返されたのだ。
鞠の手を早苗が元気に、励ますかのように。
鞠はにこっと、笑みを浮かべる。
嬉しそうに幸せそうな微笑で。
いつまでも、この帰り道が続いていけばいいのに……。
叶えられないと分かっていても、願ってしまうのは、いけないこと?
ふと、空を見上げると、ゆっくりゆっくりと雪が舞い落ちてきた。
白く柔らかな雪。
まるでそれは、天からの使者……舞い降りる天使のように……。
幻想的な光景、だった……。
二人は同時に雪を手で受けて、消えていく様を眺める。
互いに顔を見合わせ。
「鞠ちゃん、寒くない?」
「早苗先輩と一緒なら、いつでもあったかですのん!」
くすっと笑う。
また、その足で歩き出す。
弾むように軽やかに、幸せそうに。
二人はもう一度、空を見上げた。
「雪、早苗先輩と私に挨拶に来てくれはったみたいやの!」
「うん、きっとそうだね。なんだか、嬉しいねっ」
笑い声が響く。
優しい優しい音色のように。
繋ぐ手は、何時までも暖かくて、ちっとも寒く感じない。
舞い降りる雪と一緒に、幸せな時間はゆっくりゆっくりと溶けていった。
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