●クリスマスパーティー 〜dichiarare l'amore〜
きらきらと輝くイルミネーション。
梢は、イルミネーションを眺めながら、尊を見た。
「今日は……みこちゃに会えてよかった。毎年、クリスマスは……寂しい思いしてたから」
「そうなの?」
そう訊ねる尊に、梢は頷く。
「パパもママも、毎年忙しそうにしてたから……クリスマスは、いつも兄様とふたりきりで」
煌くイルミネーションを見上げながら、梢は続ける。
「大好きな人と一緒に過ごすクリスマスに、憧れていたの。今日は、大好きなみこちゃが傍にいてくれてるから、特別だね」
そう言って、梢は笑顔を見せた。
悲しい笑顔。
どうして、そんなにも悲しそうな笑顔をするの?
尊は心の中で問いかけずにいられなかった。
それほど、寂しい想いをしていたのかもしれない。悲しかったのかもしれない。
ボクに出来る事はなんだろう?
ボクにできる事は………。
尊は優しく梢を抱きしめた。
「あっ……」
突然の行動に梢は驚きを隠せない。
「ボクが居るから……寂しくなったら、挫けそうになったら、ボクが飛んでいくから」
梢の耳元で、そう尊は優しく告げた。
「あったかい……それに、凄くたくましい。こんなに、ちっちゃいのに……」
ぽろぽろと零れるのは涙。周りの明かりで更に光を宿す、その涙はまるで、煌く宝石のように。
「こ、梢!?」
驚く尊に梢は続ける。
「……あ、悲しいんじゃないの。ただちょっと……」
溢れる涙はなかなか止まらない。けれど、梢の顔にあの悲しい笑顔はなかった。
かわりにあるのは、嬉しそうな笑顔。
「……ずっと、一緒に居て……みこちゃ……」
梢は尊の胸に顔を埋めた。
しばらくして、尊が口を開いた。
「ねえ、梢。目を瞑って」
「みこちゃ?」
「いいから……」
唇が重なる。尊と梢の唇が。
この日、二人にとって、大切な日になったのはいうまでもない。
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