●男二人のクリスマス〜室内編〜
「遊びに来たぞ、エンヤ!」
その手には、美味しそうなケーキとシャンメリー。
「遅かったな、紫月」
迎えるのは、親しい間柄の……いや、悪友というべきか。
偃鴉はやってきた紫月を、自分の部屋に案内した。
今日はクリスマス。
偃鴉はこの日、紫月を呼んでゲームをする事にした。
「へえ、これがあの話題のゲーム機かっ!!」
瞳を輝かせながら、紫月は偃鴉の部屋にあるゲーム機を見た。
このゲーム機、売り出される前から話題で、売り出されてしばらく経った今でも、予約しても買えないほどの人気商品であった。
「それじゃ、ケーキ食べたら、さっそくやるか?」
「さんせーっ!!」
こうして、二人の熱き戦いの幕開けとなったのである。
「で、何やるんだ?」
紫月の声に偃鴉はソフト入っていたケースを見せる。
「これだ。数種類のスポーツが楽しめる上、体力テストもできる」
「へえ、そうなんだ、楽しみだな♪」
さっそく二人はコントローラーを片手にバトルを開始した。
ボクシング……負け。
ボーリング……負け。
ゴルフ………えっと、勝負にならない?
そして、最後に選んだ競技はテニス。
「これで最後だっ!! こ、今度こそ勝ってやるっ!」
「それじゃ、プレイ開始するぞ」
「臨むところだっ!!」
左右に別れ、コントローラーを振る。
振る方向によって、画面のキャラクターが球を打つ。
偃鴉は順調に球を返しているところで。
「うわ、な、何で右に打ってるのにラケット左右に振るの!? エンヤのキャラはちゃんと動いてるのにー!! 運動神経とか絶対関係ないだろ、コレ!」
結局、紫月はゲームに全て負けた。
がぶりと、偃鴉が頼んだピザに噛り付く紫月。
「むーっ」
美味しいピザを食べながら、紫月はちょっとご機嫌斜めだ。
でも、それが偃鴉の目に新鮮に映る。特に勝負にムキになるところとか……。
「よし、決めたっ!! 今日は絶対勝つまで勝負してやるー!」
「それじゃ、俺も付き合うか」
(「それに、このゲーム、一人でプレイするより、複数でプレイする方が楽しいからな」)
偃鴉は心の中で呟きながら、微笑んだ。
ピザを食べ終えた二人は、再度、勝負を始める。
結局二人は、夜更けまでゲームをプレイし続けるのであった。
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