緋月・涙音 & 佐藤・阿修羅

●炬燵でクリスマス

 部屋の中央には、暖かい炬燵が準備されている。
 後はこの、買ってきたものを並べるだけ。

「わーい、なんとなーくクリスマスな感じじゃなっ」
 着物姿の涙音は、炬燵の上に並べられたものを見て、嬉しそうな声をあげた。
 小さなクリスマスツリーに、見た目が本物のシャンパンのようなシャンメリー、美味しそうなチキンに、クリスマスケーキ。
 全て、クリスマスになくてはならないものばかり。
「あーちゃん、あーちゃん」
「何?」
 涙音は、阿修羅を呼んで、その頭にぽんと乗せた。
 キラキラと輝く、三角帽。これもまたクリスマスならではのものだ。
「あ、でもこれは……ちょっと恥ずかしいね」
「さらにクリスマスな感じがするんじゃが……ダメかえ?」
「そうだな、るーも被ったら考える」
「わ、妾もか? むう、それは困ったのじゃ」
 そう言い出す涙音に思わず阿修羅はくすくすと笑い出した。
「そこまで真剣に考えなくても良いのに」
「せっかくここまでクリスマスにしたのじゃ、帽子もクリスマスにしないと、もったいないのじゃ」
 そういう問題かなとまた阿修羅は笑う。
「それよりも、乾杯しようよ。喉乾いちゃった」
「うむ、そうじゃな」
 こんと、気持ち良い音を立てて、二人はシャンメリーで乾杯した。

 炬燵の上のものがあらかた片付いた頃。
 二人はおもむろにそれを準備し始めた。
「さて、お楽しみの『アレ』やる?」
「おっ! もうそんな時間か? じゃあ、ちょっと持ってくるのじゃ」
 二人の鞄から取り出されたもの。
 それは綺麗にラッピングされたプレゼント。
 このときのために、しっかりと用意してきたのだ。
「中身は何?」
「見てからのお楽しみじゃ」
 涙音が阿修羅に渡したプレゼントボックスは、平べったい。
 阿修羅が涙音に渡したプレゼントは細長く、涙音が持ってきたプレゼントよりは小さい。
「ありがとう、あーちゃん」
「ありがとう、るー」
 結局、二人はその場でプレゼントをあける事はなかった。
 何を貰い、何をプレゼントしたか。
 それは二人だけの秘密。
「メリークリスマスじゃな、あーちゃん」
「うん、メリークリスマス」
 暖かい炬燵の中で、二人のクリスマスはささやかに終わりを告げた。




イラストレーター名:秀翠