●告白の後、屋上で…
教室で行われたパーティー。
そこで、栞は透夜に告白され、付き合うことになった。
そんな熱気を冷ますかのように、二人は会場を出て、屋上へと上がる。
「あ、雪ですよ、天木先輩っ」
栞は嬉しそうに舞い散る雪に手を伸ばす。
「栞ちゃん、寒くない? コート貸そうか?」
喜ぶ栞に声をかけるのは、透夜。
栞は振り向き、笑顔で応える。
「あ、私なら大丈夫ですよ〜。……くしゅん!」
「……ほら、言わんこっちゃない」
くしゃみをした栞の肩に、透夜は自分のコートをかけてやる。
そして、透夜はそのまま栞を抱き寄せる。
「……えっと、ありがとです、天木先輩」
照れたように頬を染めながら、栞はそう感謝の言葉を告げた。
「……ん、栞ちゃん、ちょっと目を閉じてくれるかな?」
身を寄せる二人。
ふと、透夜が栞に話しかけた。
「良いですよ〜」
栞は素直に目を閉じる。
そんな栞の額に、透夜は口付けした。
触れ合うぬくもりが、なんだかくすぐったくて。
「……これからよろしくね、栞ちゃん」
照れながらも、透夜は優しく微笑んだ。
「……あ、今のって……え、えっと、その……こ、こちらこそよろしくですっ天木先輩っ」
そういう栞は突然のキスに驚いて、顔が真っ赤だ。
「栞ちゃん、良ければ下の名前で呼んでくれないかな?」
「……えっと、それじゃ『透夜先輩』と『透夜さん』、どっちか良いですかっ?」
逆に訊ねられて、透夜はしばし考える。
「……ん、『透夜さん』がいいかな」
「分かりました。あま……と、透夜さんっ」
栞の顔がさらに赤くみえるのは、気のせいだろうか?
「ははは……慣れない内は、好きに呼んでくれていいよ。……それじゃ、そろそろ戻ろっか、栞ちゃん」
透夜はそういって、栞に手を差し伸べた。
「はいっ、透夜さんっ♪」
差し伸べられた手に、栞は自分の手を乗せたのであった。
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