竹内・雫 & スノー・ルナスピア

●Happy Merry Xmas

 二人は暖かいコートに身を包み、少し肌寒い夜の街を歩いていた。
 今日はクリスマス。
 輝くイルミネーションが、眩しく見える。

「綺麗ですね」
「うん、とっても綺麗だよ……」
 ふと、雫は隣にいるスノーを見た。
 こんなに街が綺麗に見えるのは、きっと、隣に大切な人がいるから。
 恥ずかしくて、そんな事を口にはできないけれど。
 その代わりに……。
 雫は勇気を出して、その願いを言葉にした。
「手を……繋いでも良いかな?」
 頬を染めながら、雫はスノーの手に自分の手を重ねる。
「どうぞ」
 スノーは返事と共に、雫の手を握り返す。
 互いの手の温もりが暖かくて、くすぐったく感じる。
 雫は嬉しそうに微笑んだ。
「こうすると、暖かいね」
「ええ、とても」
 二人は微笑んで、また歩き出した。

 街はいつもより賑やかに感じる。
 楽しそうに笑う家族連れ、はしゃぐ男女のグループ。
 通り過ぎる人は皆、笑顔であった。
 これもまた、クリスマスという名の奇跡……かもしれない。

 ふと、スノーが声を上げた。
「あ、見てください。あそこにツリーがありますよ」
 スノーが指し示した先。
 そこには、大きなクリスマスツリーがあった。
 様々な飾りに、色とりどりのイルミネーション。
 その輝きが、二人の瞳に焼きつくかのように……。
「こんなに綺麗に見えるのは、隣に好きな人がいるからかな?」
「え? 何か言いました?」
 スノーの言葉に雫は慌てる。
「な、何でもないの。その……ツリー、とっても綺麗だねって」
「そうですね、でも……」
「でも?」
「ツリーよりもあなたの方が綺麗ですよ」
 そのスノーの言葉に、雫の顔は真っ赤になる。

 二人のクリスマスは、まだこれから。
 イルミネーションの輝きと共に、二人の時間はまだ続くのだから……。




イラストレーター名:うに