狐火・だきに & 芹・なずな

●サンタクロースを待ちながら

 12月25日(月)。だきにの日記。

 昨日はクリスマスイブ。
 クリスマスパーティーに参加していたら、すっかり夜遅くなってしまったので。
『ねえ、うちでお泊りしない?』
『うん、いいよ』
 なず姉のおうちにお泊りした。

 寝る前にサンタクロースの話になった。
 だきにちゃんは、サンタクロースの事は信じてないのだが……。
『一年間良い子にしていた子には、サンタさんがプレゼントをくれるんだよ』
 そう、なず姉が言って、聞かないので、靴下に欲しい物を書いたメモを入れて、一緒に眠る事にした。
『これで、サンタさんが来てくれるよ。楽しみだね』
『うん』
『じゃあ、今日は一晩起きて、サンタさんを待っていようか。驚かすといけないから、ベッドの中で寝てる振りしてようね』
 どうやら、なず姉は、一晩起きてサンタクロースが実際にやってくるところを、だきにちゃんに見せようとしているらしい。
 だけど……。
 だきにちゃんは、夜更かしだから起きていられるけど、なず姉は大丈夫かなぁと思ったら……。

 案の定、5分で寝てた。ちょっとびっくり。

 だきにちゃんは、そのまま起きていても良かったんだけど……サンタクロースに扮装したお笑い忍者が、不法侵入してきて、目が合ったら気まずいので普通に寝る事にした。

 ………そして、翌朝。
 二人で起きて、靴下の中を見た。
 結局、靴下の中には、何も入ってはいなかった。
 でも、なず姉は、それでも何故か満足そうな顔をしていたし。
 だきにちゃんも別に、靴下の中に何か入っているとは思っていなかった。

 だきにちゃんが欲しいものは、一晩中、ずっと抱きしめていたのだから。
 ね、なず姉?




イラストレーター名:黄桜伽奈子