●聖夜に交わす言の葉
夜空に粉雪が舞う。
白く鮮やかな雪。
その雪はツリーのイルミネーションを受けて、更に輝きを増していた。
「貴斗さん、見てください。綺麗な雪です……」
夏輝は、空を見上げ、隣にいる貴斗に声をかけた。
「ええ、とっても綺麗です。今日はホワイトクリスマスですね」
二人はにっこりと微笑みあい、雪とツリーを眺める。
貴斗は、そっと夏輝に冷たい風が来ないよう、風除けになっていた。
「寒くありませんか？」
「それほどではありません。……きっと貴斗さんがいてくれるから、ですね」
その言葉に貴斗は思わず笑みを浮かべた。
「寒くなったら、言ってくださいね」
「ええ」
二人は、こうして共にクリスマスを過ごせる事に感謝していた。
側に居るだけで、心安らぐ……。
貴斗は、隣にいる夏輝を見つめながら、そう思っていた。我ながら、単純だとも思いながら。
「貴斗さん」
ふと、夏輝に声をかけられる。
「どうかしましたか？」
恥ずかしそうにはにかんで。
「貴斗さんと一緒に居られて、幸せだと思いまして」
その夏輝の言葉に貴斗は微笑んだ。
「奇遇ですね。私もです」
二人は寄り添い、またツリーを眺める。
雪はまだゆっくりと降ってきていた。
ゆったりとした二人の時間。
一緒にいられるという幸福感。それを共に味わえる事の喜びは何事にも耐え難い。
二人は微笑みながら、穏やかな一夜を過ごす。
二人は願う。
（「どうかこれからも、この安らぎの日々が続きますよう………」）
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＆
石動・夏輝 
