●あなただけに届けるプレゼント
今日はクリスマス。
大好きな彼にどんなプレゼントをあげよう?
暖かいマフラー?
それとも丈夫で素敵な腕時計?
ああ、何をあげよう?
困ってしまう。迷ってしまう。
そして、彼女が見つけた、最高のプレゼントは………。
桜は美保のいる部屋へゆっくりゆっくり慎重に向かっていた。
静かな夜。
もう、美保もぐっすりと眠っている事だろう。
「本当は美保ちゃんが起きているときが一番なんだけどぉ……」
ちょっと恥ずかしいから、こうして夜を狙ってきた。
可愛らしい赤いサンタの服を着て、ゆっくりと目指す。
と、扉の前で桜は足を止めた。
「き、緊張しますぅ〜」
何度か深呼吸して、ゆっくりゆっくり音を出さないよう気をつけながら扉を開けた。
どうやら、まだ眠っているようだ。
桜はほっと胸を撫で下ろし、美保の側に近づく。
どきどきと、自分の心臓の音がよく響いているように感じる。
桜はそっと、美保の顔に近づいていった。
「メリークリスマス」
小さく囁いて、美保の顔にキスをする。
さあ、目的は果たした。
美保が覚えていないのがちょっぴり残念だが、それでも桜の心は充分満たされていた。
桜はまた、ゆっくりと美保から離れていく。
「サンタさん、捕まえた」
「えっ!?」
耳元で囁くのは美保。
「お、起きてたんですかぁ〜」
「サンタさんが入ってきたから、目が覚めた」
「そ、それって……ズルイですぅ〜」
「でもお陰で、すっごく嬉しいクリスマスプレゼント貰ったよ」
美保は笑顔で告げる。
「ありがとう、桜」
「……ど、どういたしまして、ですぅ〜」
恥ずかしそうに下を向く桜に、美保はお返しにキスをした。
「ねえ、桜。目が覚めちゃったし、しばらくこうしてて良い?」
「よ、美保ちゃんっ……」
どうやら、今夜は眠れそうにないようだ。
こんな素敵なプレゼントが届いたのだから……。
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