●... クリスマスクッキー作り ...
今、直人の家のキッチンで、二人の男が新たなる挑戦に挑むところであった。
彼らの挑戦。
それは……クリスマスクッキー作り!
「クッキー作るの初めてだ……」
クッキーの材料を計量しながら、エプロン姿の直人が呟く。
「そうなんだ? じゃあ尚のこと、上手く出来たらいいな」
「そうだな」
皐来の言葉に直人は微笑を浮かべる。
「まずはフツーの味作るか。あっ、ココア味とかあったら、面白そうじゃねえ?」
「それいいかも。あと……フリーズドライのイチゴ混ぜて、イチゴ味とか!」
「お前、ホントにイチゴ好きだな」
皐来のイチゴに思わず直人は笑ってしまう。
「……好きで悪いかっ」
二人は笑いながら、次々と材料を用意していった。
皐来は計量した材料をボールに入れ、ぐるぐるとかき混ぜる。
「あ、力仕事なら、俺に任せろ」
「じゃあ、直人に任せた」
ボールを直人に託し、皐来はクッキングブックを開く。
「で、さっくり混ぜるんだけど……」
「さっくりって……こんな感じか?」
「そうそう」
直人の手元を見ながら、皐来は頷いた。
どうやら、順調に進んでいるようだ。
しばらく寝かした生地を伸ばし、様々な形の型で抜いていく。
「うわっ! 崩れたっ!」
慣れない手で直人は型を抜き、さっそく失敗している模様。
「あはははっ。そのうち慣れ……あっ」
どうやら、皐来も失敗したらしい。
「お前もそのうち慣れるさ」
すかさず、直人が突っ込みを入れた。
そして、数時間後。
「すっげーっ! マジで出来たっ!」
目の前にあるクッキーの山を見て、直人は嬉しそうな声をあげていた。
「いや、そりゃ出来るだろ」
ぱんと、二人でハイタッチしつつ、皐来はふと思った。
「……にしてもこの量、食べきれるか?」
「……三食クッキー生活?」
「……クリスマスなのに?」
「たまには、こういうのもいいんじゃねぇの?」
くすくすと笑いながら、二人は最初のクッキーを口に含む。
甘いクッキーの味が、口の中に広がった。
その後、大量のクッキーはというと……。
「……もうしばらくクッキーいらねぇ」
涙を浮かべる直人と。
「あははは」
乾いた笑いを浮かべる皐来の三食になったのは、言うまでも無い。
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