●Especial Friend...
今日はクリスマス。
いろいろなパーティーを回って参加した明衣とジウは、近所の公園へと入っていた。
人気もなく静かな公園……。
そこにあるベンチに腰掛けて、二人はやっと一息ついた。
「賑やかな所でのパーティも良いけれど、こういう所でのんびり過ごすのもいいですよね?」
明衣に向き直り、ジウは笑顔で話しかける。
「うん、そうだね。賑やかな場所に長くいた所為か、ちょっと疲れちゃった」
そういって、明衣も微笑む。
「あ、そうだ」
思い出したかのようにジウは、持ち歩いていた箱を明衣の前でかぱっと開く。
「じゃーんっ! はいっ、明衣ちゃんクリスマスプレゼント♪」
そこには、ショートケーキやチョコレートケーキ等の定番ものから、なんだか舌を噛みそうなおしゃれな横文字のものまで、色々なケーキが一口サイズで詰められていた。
「たくさんあるから、たーんとご賞味あれ♪」
美味しそうなケーキを差し出され、明衣は驚きながらも、笑顔でそれを受け取った。
「でも……一人じゃ多いから、一緒に食べよう?」
「……いいんですか?」
「うん。一人で食べるよりも二人で食べた方が美味しいしね」
明衣はそういって、お気に入りの一つを手にし、さっそくぱくんと口にしてみる。
「さあ、ジウちゃんも♪」
「……それじゃ、お言葉に甘えて」
ジウも明衣と同じようにケーキを食べる。
「ジウちゃんのケーキ、とっても美味しいね」
「そういってくれると嬉しいです」
嬉しそうに食べる明衣の頬には、白くて甘いクリームがちょこんと付いていた。
それはまるで、まるでお菓子の国にやってきた子供のように……。
いつの間にかケーキはなくなっていた。途中で食べさせ合っていたからかもしれない。
明衣は口元のクリームを拭うと、楽譜を手にして、すくっと立ち上がった。
「私にも彼が出来たら歌ってあげようかなって思ったんだけど、ちょっと無理っぽいし……ジウちゃんだって大切な人には変わりないからね♪」
ジウにそう前置きして。
公園に歌が聞こえる。
暖かく澄んだ綺麗な響きの歌。
それは、ジウにとって大切な歌となった。
「明衣ちゃん、歌のプレゼント……ありがとう」
過ぎ行く時間の中で、二人は思う。
この先もずっと、仲良しでいられますように。
この世界を包む輝く雪がやんでも、ずっとずっと色褪せないように……。
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