●粉雪 〜二人だけの聖夜〜
粉雪が舞う、クリスマスの夜。
二人は待ち合わせをしていた。
「ごめん、待った?」
矜恃は息を切らして、やってきた。
「いいえ、私も今来たばかりですから」
沙那は微笑み、矜恃を迎える。
今日の待ち合わせの目的。
それは、町のイルミネーションを見る事にあった。
矜恃と沙那は、手を繋ぎながら、目的地へと歩き始める。
目的地までまだ、たくさんの時がある。
沙那は矜恃に笑顔で話しかけていた。
「……だったんですよ、矜恃さん」
楽しそうに話してくる沙那に矜恃は思わず。
「僕さ、沙那の笑顔を見ていると、とても幸せな気持ちになるんだ……」
そう沙那に告げた。
「えっ……」
とたんに沙那は顔を真っ赤にして俯いてしまう。
「ご、ごめん……ちょっと驚かせちゃったかな?」
自分の言った言葉に矜恃も照れながら、自分の頭を掻いた。
と、目に入ったクレープ店。
二人はその店に入り、それぞれお気に入りのクレープを手に入れた。
近くにあったベンチに座り、さっそく食べ始める。
「……おいしいですね」
「うん、そうだね……」
そう答える矜恃を見て、沙那は思わず吹きだしてしまった。
「え? 何?」
状況がつかめず、矜恃はきょとんとしている。
「ふふ……ついていますよ」
沙那は自分の指で、矜恃の頬に付いてたクリームを拭い取り、口に運ぶ。
「あ……」
矜恃はその、沙那の唇の色っぽさに思わず、どきっとしてしまうのであった。
そして、目的地に到着した二人。
目の前には、様々な色のイルミネーションが輝くツリー。
そのツリーの姿に、思わず、二人は息をのむ。
「すごい……綺麗……」
「ああ……これは……すごいな……」
しばらくツリーを眺めた後、矜恃は隣にいる沙那に話しかけた。
「沙那と……これからもずっと居たい……」
それは、矜恃からの愛の告白。
「私も……矜恃さんとずっと……一緒に……」
「沙那……愛してる」
矜恃の言葉に沙那は無言で頷き。
美しいクリスマスツリーの側で、二人の唇が重なり合った。
「……来年も一緒に見に来ましょうね」
「うん、また来よう……一緒に……」
こうして、二人は幸せなクリスマスの夜を過ごしたのであった……。
| |