神乃・聖子 & 狗石・逸美

●サンタガールズ♪

「みんなー、サンタさんだよ〜ん♪」
「さあ……プレゼントですよ……」
 クリスマスイヴの街角、大勢の人々で賑わうそこに、逸美と聖子の姿があった。
 2人はどちらも、ミニスカサンタ姿で、大きな袋を抱えている。
 通りすがりの子供達に、この中に詰まったプレゼントを渡す。
 それが2人の目的だ。
「はい、どーぞ!」
 元気よく陽気に笑いながら、プレゼントを渡す逸美。その耳には犬耳が飾られ、お尻の方では、ふかふかの尻尾が揺れている。
「たくさん、あるから……取り合いっこ、しちゃ……ダメ、だよ……」
 そう優しく微笑みながら、聖子も順番にプレゼントを手渡していく。彼女の方は、猫耳と尻尾をつけて、にゃんこサンタだ。
「犬さんだー!」
「猫さんサンタさんだー!」
 サンタクロースに可愛い動物の要素を加えたら。それは子供達の気を引いたようだ。2人の周囲は、集まってきた子供達で、とても賑やかになる。

「……ん……」
 プレゼントを渡した子供の頭を優しく撫でてあげながら、不意に聖子は片手をくいっと裾へ伸ばす。
(「子供たちの、背丈、だと……この、スカート……中、見えちゃい、そう……」)
 1度それが気になったら、ぐるぐると頭の中を駆け巡ってしまう。思わず顔を赤くしながら、何度も何度も、伸ばした指先でサンタ服の裾を引く。
「? うに〜、どったのひ〜ちゃん」
 聖子の変化に気付いて、逸美が怪訝そうに首を傾げる。その仕草を見るうち、スカートが気になって恥ずかしいんだろうと予想すると、にーっこりと笑いかける。
「だいじょぶだいじょぶ! ひ〜ちゃん、美人でか〜い〜からっ」
 ぐっと親指を立てて聖子に言うと、逸美は周囲の子供達を見て。
「ささ、気にせず配ろ? ほら、みんな待ち遠しいって〜♪」
 その言葉に見れば、プレゼントに胸を躍らせながら待っている、たくさんの子供達の姿。
 あっ、とそれに気付いた聖子は、気を取り直して、また子供達にプレゼントを渡していった。

「ふぅ……いっぱい、配った、ね……」
「ふゆ〜、疲れたの〜」
 やがて袋が空になると、2人は帰り道を歩きながら、そう言い合う。
「……とぅっ♪」
「っきゃ……!?」
 にやりん、と何かを企んだ逸美は、タイミングを見計らって聖子に抱きつくと、その胸元にすりすりとすり寄る。
「わふ〜。相変わらずや〜らかくて気持ちい〜の〜♪」
「あは……いつみん、は……あまえんぼう、だね……」
 聖子はくすくす笑いながら、ぎゅっと逸美を抱き返すと、その体を優しく撫でてあげるのだった。




イラストレーター名:熊虎たつみ