●星降る夜の帰り道
今日はクリスマス。
楽しい学園のパーティーを終え、今度は自分達の寮でのパーティーに参加する。
寮では、美味しい鍋パーティーが開かれるのだ。
「寮の鍋材料ってこれで全部だっけ?」
涼は隣にいる風姫に訊ねた。
彼らの手には大きな荷物が握られている。
「えーと、葱、白菜、魚、きのこ、肉、肉、肉、おじやようの御飯……全部ね」
風姫は一つ一つ数えながら確認する。
「……うん、間違いない」
隣で風姫と一緒に買ったものを確認した涼も頷いた。
「しっかし……クリスマスの夜に、寮で鍋パーティって……駄目駄目ばっかだなあ……うちのは」
思わず涼は呟いた。
「えー、良いじゃない鍋パーティー。主に肉とかおじやとか。皆で鍋囲むとか。あと肉とか」
涼のその言葉に、風姫は即座に反論した。……風姫もどうやら、肉を狙っているらしい。
「……や、こう。彼氏ーとか彼女ーとか」
言いながら涼は、自分とそして、周りの友の顔を浮かべる。
思わず口からため息が漏れた。
「……まあ、いいけど。肉美味しいし、肉大好きだし」
降参したのは、涼の方。どうやら、涼も恋よりも肉派のようだ。
「……んー。私は皆で鍋囲むほうが好きかなー。三人以上での食事ってあんまりなかったし」
「……今トキメキに似た何かが……あ、いや何でもない。それじゃ、急ぐか……皆、腹空かせてるだろうし」
風姫の言葉に涼は、ちょっとときめいた様子。涼は風姫の頭をぽむぽむと撫でた。
「そーね」
と、風姫が顔を上げたとき。
音も無く、ゆっくりと白いものが降りてくる。
「……あ、雪……」
風姫は思わず、その雪に手を伸ばす。
「……おっ、なかなか……これはこれで良いな……」
涼も落ちてきた雪を手に取る。そして、風姫に微笑んだ。
「メリークリスマス、ふーき」
風姫もにっと笑みを浮かべる。
「メリークリスマスよ、りょー」
彼らはしばらく雪を眺めてから、すぐさま自分達の寮へと戻った。
暖かい仲間達が待つ、その部屋へ………。
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