<葛城山殲滅戦>


●土蜘蛛の聖域 葛城山
 土蜘蛛戦争は、銀誓館の能力者達の勝利に終わった。
 一時は御所市全体を領域としていた土蜘蛛達は、最後の聖域である葛城山に撤退している。
 自分達の聖域である葛城山を自然の地形を利用した砦とする土蜘蛛の軍勢……。
 その戦力は決して侮る事はできないだろう。
 勿論、新たなメガリスを発見し、生命賛歌の効果を発動する事ができれば殲滅も難しく無いであろうが、その目処はたっていない。

 幸い、土蜘蛛戦争で大きな被害を被った土蜘蛛勢力は、当面の間、葛城山の外に降りてくる事は無いと予報されている。

 奈良県周辺で、葛城山に合流できなかった蜘蛛童を捕捉殲滅する必要はあるが、今回のような大規模な戦いは、こちらから葛城山に攻め上らない限りは発生しないだろう。

 主導権は、土蜘蛛戦争に勝利した銀誓館の能力者達にあるのは間違いは無い。
 選択の一つは、傷ついた者達の回復を待ち、一気に葛城山を落とす『葛城山殲滅戦』の実行。
 もう一つは、葛城山を封鎖することで土蜘蛛の軍勢の無力化を計りつつ、新たな可能性を探る事。

 どちらの手段を取るべきか……それを決めるのは、能力者である学生達であるべきだろう。

 決断と行動。
 それが、彼らに課せられた役目なのだから。

■選択肢解説

(1)葛城山殲滅戦の遂行を支持する
 この選択肢を選んだ人が多かった場合、土蜘蛛の本拠地を一気に攻撃し、残る土蜘蛛を全滅させる『葛城山殲滅戦』が発動します。
 なお、メガリスによる加護が無い為、戦闘によって『死亡』する可能性があります。
 この選択肢を選んだ場合、更に、「合言葉」の欄に、具体的な行動方針を【突撃】【前衛】【包囲】【後衛】のいずれかから選んで記入したで、殲滅線に参加する為のプレイングを記入してください。

合言葉
【突撃】【前衛】【包囲】【後衛】のいずれかひとつ

(2)葛城山殲滅戦の遂行を支持しない
 この選択肢を選んだ人が多かった場合は、葛城山殲滅戦は発生しません。
 葛城山を封鎖しつつ、殲滅戦以外の可能性を模索する事になるでしょう。
 この選択肢を選んだ場合、今後の方針に対する提案をプレイングで行なう事もできます。
 提案された内容に基づいて、今後の展開が左右される可能性がありますので、より良い未来を作るための提案を行なっていきましょう。

 なお、葛城山殲滅戦が遂行された場合には作戦に参加する事はできませんが、バックアップとして援護する事は可能です。
 殲滅戦が行なわれた場合にバックアップを行なう事を希望する場合は、「合言葉」の欄に【バックアップ】と記入してください。

合言葉(バックアップする場合のみ)
【バックアップ】

●リアルタイムシナリオとは
 リアルタイムシナリオは、参加は無料で能力者ならば誰でも参加する事が可能です。
 参加する場合は、どのような行動を行うかを下記の選択肢から選んだ上で、詳しいプレイングを指定してください。
 このシナリオでは、リアルタイムイベントと同様で『重傷・死亡』の危険があります。
 参加する場合は、充分な覚悟を持って挑んでください。




<リプレイ>


 葛城山。
 土蜘蛛戦争の決戦の地となった奈良県御所市の南西に位置するこの山には、御所市より駆逐された土蜘蛛の残存戦力が集結していた。
 他の拠点の全てを失った土蜘蛛にとっては、ここが最期の拠点である。この拠点を失う事は、組織としての土蜘蛛の壊滅を意味しただろう。
 だが、土蜘蛛戦争に勝利した銀誓館の能力者達も、メガリスの破壊効果『生命賛歌』の効果時間内に葛城山の拠点を攻め落とすには至らず、戦いは一時休戦状態となった。

 学園に戻った銀誓館の能力者達は、新学期を迎えて進級し新たな学園生活を迎えていた。
 だが、この期間は、来るべき土蜘蛛との再戦に備える為の時間でしかなかったのかもしれない。土蜘蛛戦争で負った傷が治るまでの時間。それは、戦士達の休暇であり、今後の方針を決める為の時間であったのだ。

 休戦状態となった葛城山の土蜘蛛達をどう扱うかは銀誓館の能力者達の決断に委ねられていた。
 戦うべきか戦わざるべきか。
 決断するべきは、葛城山殲滅戦を行なうか否かである。
 能力者の中には、既に大勢は決しており危険を冒してまで敵拠点を強襲する必要は無いのではないか? という意見を持つ者も少なくなかった。
 葛城山を包囲しつつ降伏を呼びかければ、女王と会談する事すら可能かもしれない……という希望を持つ者は多かっただろう。
 だが、それ以上に多かったのは、葛城山殲滅戦を行なって土蜘蛛を攻め滅ぼすという意見であったのだ。
 メガリスの破壊効果である『生命賛歌』が無い状態での大規模戦闘には不安が残るが、下手に時間を掛けて、土蜘蛛が新たなメガリスを獲得し、再び無限繁栄の力を使用すれば大惨事を引き起こす。
 何より、ゴーストである土蜘蛛の存在を許す事は出来ないという強い意志が、彼らの心に火をつけたのだ。

『生命賛歌』の加護は、戦場での死を一度だけ回避する能力。
 この加護が無ければ、大規模な戦いでは死の危険が高くなるだろう。
 だが、土蜘蛛をこのまま放置すれば、普通に暮らす人々の命を危険に晒し、世界結界の崩壊が早まる可能性があるのだ。

 評決が行われ、その結果1636対1064という票差で葛城山殲滅戦を行なう事が決定した。

 そして、葛城山殲滅戦の決行の日がきた。
 土蜘蛛戦争で傷を負った能力者達が傷を癒した能力者達の大軍団が、葛城山の麓に大集結したのだ。
 戦いに敗北した土蜘蛛達に、葛城山から外に出て活動する余力は無いだろうという運命予報士の予報は正しく、現時点まで葛城山の土蜘蛛が市街に降りてはきていない。

 決戦の舞台は、葛城山。
 土蜘蛛との決着をつける最後の戦いが始まろうとしていた。



●葛城山殲滅戦 〜突撃

 葛城山殲滅戦で、最も危険な役割を担う部隊は、突撃部隊であった。
 万全の用意を整えて待ち構えているだろう土蜘蛛の防衛線に突撃し、その猛き牙で敵陣を切り裂く……。
 それは、その栄誉と引き換えに、命をも失いかねない危険な任務だったのだ。
 その突撃部隊、総勢234名の先頭に立つのは、一番槍を自ら志願した海野・虎蔵(高校生水練忍者・b17748)である。
「我々の目的は世界結界の守護。一番槍の誉れを持って仲間に尽くそう!」
 イグニッションと共に特撮ヒーローの様な格好になった彼は、颯爽と葛城山を行く。
 彼を含めた葛城山を行く突撃部隊の面々は、周囲への警戒を密にしていた。
「罠や待ち伏せには、気ィつけなあかんな」
 天道・矜恃(黄昏の魔剣・b06410)が、コンビを組んでいる貴船・沙那(黄昏に舞う白翼・b02495)に言葉を向ける。
 ゾンビハンターの死人嗅ぎは蜘蛛童を感知する事はできるが、鋏角衆や土蜘蛛、土蜘蛛の巫女を感知する事は出来ない。
 蜘蛛童に限ったとしても、敵の数が多数になる戦場では有効に使いこなす事は出来ないのだ。
 葛城山に蜘蛛童がいる事は判じても、その数や強さが分かるわけでも無い。
 自然と慎重になる彼等の歩みの中、葛城山の山道は幾重にも折れ曲がり、その視界を遮っていた。現れるとも知れぬ敵を警戒する能力者達の足取りは、次第にゆっくりとしたものになっていく。
 そして、虎蔵が眼前に現れた新たな角を曲がった瞬間だった。
 それまで姿を見せていなかった敵は、唐突に現れる。
「出たか、蜘蛛ども!」
 虎蔵の目に映ったのは、視界を埋め尽くさんばかりの蜘蛛童の大群。
 さらに、その後ろには何人もの鋏角衆達の姿が見える。その手に振り上げられた編み笠は周囲に刃を光らせて、敵が角を曲がって姿を見せるのを待ち受けていた。
「くっ!!」
 咄嗟に振るったワイヤーで、虎蔵は投げつけられた編み笠を弾き飛ばしながら後退する。だが、幾つもの編み笠が彼の体に突き刺さった。
 血を撒き散らして後退した虎蔵に、後続の者達が騒然となる。
「待ち伏せか!」
「こんな所で……!」
 一気に警戒心を高める能力者達だが、敵は後退した虎蔵を追って来るような事はしなかった。
「迂回しては行けないのか? その辺りを突っ切っていくとか……」
 もっともな意見だ。だが、葛城山の様子を探っていた【封印倶楽部】の木村・小夜(内気な眠り姫・b10537)は首を横に振る。
「道を外れて行ったら、余計に敵の思う壺になってしまうかも知れません……。現状よりも、後続が前を援護しにくい状況に陥りかねませんから」
 待ち伏せている事が知られても、蜘蛛童が一気に攻撃を仕掛けて来ないのはそういうわけかと、周りの者達から呻きが上がる。
 視界を埋め尽くす蜘蛛童は、戦力としてはそれほどの脅威とはならないだろう。だが、その存在は能力者達が展開する場所を確実に奪っている。
 前に進む方法はただ一つ、この山道を少人数で突き進み、前を塞ぐ蜘蛛童を倒す事だ。そうする事で後続の仲間が戦場に入る場所を確保し、また戦場に入った仲間が次の仲間の入る場所を確保する……そうした繰り返しによってしか、先に進めはしない。だが、最初に飛び込む者が圧倒的多数の敵から、集中攻撃を受ける事も疑いようが無かった。
「土蜘蛛達も、必死だな」
「話し合う事は、出来なかったのかしら……」
 空乃・詩漣(月狂ノ蒼姫・b10150)が悲しげに呟く。

 土蜘蛛達にとって、この葛城山は絶対に防衛し切らねばならない場所だった。
 能力者が葛城山を登るその一歩一歩は、土蜘蛛の命運を絶つまでのカウントダウンに等しい。
 この葛城山は、後衛部隊やバックアップの能力者によって十重二十重に囲まれているのだ。
 土蜘蛛達がこの囲みを打ち破って外に出る事は不可能だろうし、仮に外に出たとしても、追い立てられた末に滅ぼされるのは必定。
 この葛城山という聖域を失えば、土蜘蛛達を待つのは滅びの運命に他ならない。

「だけど、ここまで来て引き返す事は出来ないよ……これ以上、土蜘蛛の被害は出せない!」
 真田・陸王(畑の番人・b06565)の言葉に、権田原・茜(腰痛持ち・b01947)が頷く。
「そうさ! 土蜘蛛達によって涙を呑んだ人の数、その重さ……絶対に負けられない! みんな、行こう!」
 権田原・茜(腰痛持ち・b01947)は、【GMR】の仲間達に声をかけつつ自ら前に出た。黒い蜘蛛童が、茜の鋭い蹴りの一閃で消滅する。

 土蜘蛛達は葛城山の各所に防衛線を設け、能力者達を迎え撃っていた。
 防衛線において、まず襲いかかって来るのは道を埋め尽くさんばかりの蜘蛛童の群れ。
 それらに対応する間にも、上方から鋏角衆の放つ周囲に刃をつけた編み笠が能力者達を傷つけ、葛城山を血に染めていく。
「突撃あるのみですわ!」
 叫び、自ら敵陣に突っ込んだアルテミス・クリムゾンムーン(高校生魔剣士・b19692)は、黒影剣で受けた手傷を癒しながら、周りの敵を切り裂いていく。
 椿・時雨(高校生ゾンビハンター・b19790)がチェーンソー剣を振り下ろす。回転する刃が目前の蜘蛛童を食い破り、体液を撒き散らさせる。
「ザコは退いてやがれ! 俺が用あんのは女王だけなんだよ!!」
 威勢良く叫んだその時、アルテミスと時雨の体に蜘蛛童達の吐き出した糸が捲きついた。猛烈な勢いで締め上げられる二人の体に、さらに鋏角衆達の放った編み笠が迫る。
 鮮血が舞い飛び、二人の体が木漏れ日の中に崩れ落ちた。
「どうやら、お前達にもメガリスの加護は無いようだな」
 物言わぬ躯と化したアルテミスや時雨を見て、その鋏角衆はニヤリと笑う。
 戦闘で倒した敵がすぐに戦線復帰し、殺した筈の相手が息を吹き返す……。銀誓館学園のメガリス破壊効果『生命賛歌』は、戦う側からみれば、恐ろしい能力だったのだろう。
 彼の笑いは、そのメガリスの加護が無い事を確認してのものだったろうか。
 その鋏角衆に、目の前の仲間の死にショックを感じ、直接手を下した敵の笑みに敵意をむき出しにしたサーザィー・オシャネスティ(絶対凍度・b01024)が反駁する。
「それはそっちも同じ事だろう? 無限繁栄の無い土蜘蛛など……」
 だが、そのサーザィーの言葉を目の前の鋏角衆は左から右に聞き流して続けて言った。
「その上で聞こう。お前達は、何の為に戦っているのだ? 俺達は最後の拠点を守る為に命を捨てる覚悟を決めている。だが、お前達はなんの為に命を捨てるのだ?
 お前達の組織と、我ら土蜘蛛に直接の利害関係は無かった筈だ。
 確かに我が屋敷に忍び込んだ者を1人殺しはした。
 だが、お前達が殺した我らの同胞に比べれば、それは些細なものではないのか?」
「じゃかましい! ゴーストごときが偉そうに。俺らは、この世界の人々を守る為に此処に来たんじゃ! 負けるかい!!」
 四神・巽(高校生ゾンビハンター・b10193)が、その言葉をさえぎり、必殺の斬馬刀を撃ち下ろす。
 それは、狙いたがわず鋏角衆に命中し、大きなダメージを与えていた。
「この世界の人々? お前達の民ということか? だが、我々は他組織の協力者を襲ってはこなかった筈……。お前達の組織に害を与えては……」
 そう言い残し鋏角衆は息絶える。
 そのゴーグルの奥には、理解不能な者を見る瞳が残されていた。
「……一体、奴は何を言っているんだ?」
 サーザィーの言葉に、巽は首を振るしかない。
 だが、悩んでいるような暇はサーザィーにも無かった。防衛線の一つを突破したところで、戦いが終わるわけではない。
 土蜘蛛の防衛線の多くはいまだ健在。戦闘はまだ、継続しているのだ。

「ミスっちゃった、かなぁ……」
 ノー・アカリ(高校生白燐蟲使い・b10091)は、真っ赤に染まった制服を押さえてそう呟いた。次の敵を見つけるべく先行していた彼女は、その目的を果たしながらも、敵の攻撃に倒れたのだ。
「なんとか、みんなに情報を……」
 言葉は、最後まで続けられなかった。倒れたアカリにトドメを刺した鋏角衆は、手の中に戻って来た編み笠をすぐに構え、次なる敵を待ち受ける。
 だが、アカリが戻って来ない事で後続部隊は、待ち伏せていた土蜘蛛達を完全に察知する事となっていた。程なくして到着した彼等は待ち伏せに対応する準備を整え、一気に敵を全滅させる。

「いつの話だか知らねぇけどよ、以前にヤツラを全滅させられなかったから今みたいな事になってんだろ?」
 李等・堯寛(中学生青龍拳士・b12973)の龍顎拳が、蜘蛛童の頭部を打ち砕いた。
「なら、お前達には、オレの熱い拳を嫌ってほど食らわせてやるぜ!」
「うむ、筋肉によって須く殲滅すべし」
 堯寛が蜘蛛童を倒した事によって空いた空間に滑り込んだ六頭田・開生(高校生青龍拳士・b18157)は、筋肉を唸らせ、スクール水着一丁の姿で蜘蛛童を屠っていく。だが、その彼等に迫る危機は、赤の色を持って現われた。
「あれは……」
「おいおい……」
 赤い光を宿らせた蜘蛛童・爆が飛ばして来る糸が開生の体を縛り上げ、引き剥がそうともがく彼へ鋏角衆の編み笠が飛ぶ。血飛沫をあげて倒れる開生に動揺しながらも、堯寛は自分に迫る赤色の蜘蛛童に向けて拳を放つ。
「喰らえよ!」
 堯寛の拳に大きく揺らぎながらも、蜘蛛童・爆は彼に喰らい付く。倒れた堯寛に別の蜘蛛童が圧し掛かり、その命を奪い去った。

「さぁ、来い! 今までの犠牲者の無念を晴らす! 一太刀でも多くお前らに浴びせてやる!!」
 石川・八三三(高校生魔剣士・b08413)が、気迫をみなぎらせて蜘蛛童へと向かう。魔剣士である彼は、黒影剣の力によって体力を回復させながら戦い続けていた。
 だが、その勇戦は彼へと攻撃を集中させる結果を呼んでしまう。黒影剣の回数が切れると共に彼の体はその場に崩れ落ち、そして二度と起き上がる事は無い。
「畜生、いくらなんでも、被害が大き過ぎる……!!」
 そう歯噛みする仲間達を助けるため、姿月・輝(高校生白燐蟲使い・b10916)は、また新たに目の前に現れた防衛線を成す蜘蛛童の只中へと突撃する。
「俺達が敵の攻撃を引き受ける間に、先へ!」
 敵の只中に飛び込んだの体が瞬く間に血に染まり、流れ出た血と反比例するかのように他の味方へ向かう攻撃は減っていく。
 同様に敵の攻撃を引き受けた能力者達は、次々と倒れていった。
 霧生・緋鶴(高校生霊媒士・b11311)、ベルベット・サテン(高校生月のエアライダー・b21259)、桃瀬・林檎(小学生魔剣士・b22527)。そして、ツァイト・ネーベリッヒ(高校生魔剣士・b12355)、安藤・隆兵(高校生魔剣士・b21325)、地蔵院・稀千代(中学生魔剣士・b22236)、神楽崎・栗栖(高校生魔剣士・b21141)。
 異なる戦いの場で、彼らは等しく味方の盾となって死んでいった。
 幾度となく訪れる突撃部隊の戦死報告が届くたび、能力者達の胸中に友の死への悲しみと、それを防げなかった悔しさとが積み重なっていく。
「巫女に、ブルマをはかせて……」
 虚ろな声でそんな夢を呟いたブル・マーニア(高校生フリッカースペード・b06743)の体が、突き刺さった矢に遮られた。天を仰ぐようにして伸ばした彼の手が、力無く落ちる。
「くそっ、やっぱここは天然の要害ってやつか!?」
 マーニアの死を眼前に、趙・獅龍(小学生月のエアライダー・b21261)は、木陰や木の上から続々と現れた蜘蛛童によって取り囲まれていた。
「俺が相手になってやらぁ!!」
 スケルトンを失った春・茜(b15767)を庇い、獅龍は迫る蜘蛛童に蹴りを放つ。だが、気が付いた時には、二人は敵に完全に取り囲まれていた。茜を庇う獅龍の体に次々と傷が生まれ、そして服を血に染めていく。
「へへ……」
 笑いながら倒れる彼の目は、茜を救うべくこちらに駆け寄る仲間達の姿を捉えていた。

「済まねぇ、回復頼む!」
「分かりました!」
 葛城・圭助(高校生白燐蟲使い・b13445)は、傷ついた仲間に向き直ろうとし、そして気付く。
「危ないっ!!」
 飛来する編み笠から咄嗟に仲間を庇った圭助の体が、血を噴き出しながら倒れ臥す。続けざまに飛来した編み笠に大きく背中を抉られ、圭助の体がその度に震える。
「くそ、おい、しっかりしろよ!?」
「何という事だ……!」
 伽捌・太郎(カイゼルヒゲのブルース・b14667)が頭の上で振り回した斬馬刀は、怒りを伴って目前の敵を真っ二つに断ち割った。
「一般人にも、仲間にも被害は出てるんだ! 蜘蛛の殲滅を目指し、一匹でも多くお前達を仕留めてみせる!」
 黒影剣を駆使した戦いは、石川・二六(中学生魔剣士・b10853)が倒れるまでの時間を確かに長引かせていた。だが、目前に迫った蜘蛛童への一撃が外れたその瞬間、鋏角衆の一人が放った編み笠が彼の体にぶち当たった。肉の裂ける音と共に二六が倒れ、その体に蜘蛛童が群がっていく。

 成海・明良(高校生ファイアフォックス・b05128)は、眼前に現われた敵の姿に緊張交じりの笑みを浮かべた。
「やっぱり、こっちに来て正解だったかな。可愛い子達を、危険な目に遭わせるわけにはいかないもんね……」
 襲い掛かる蜘蛛童達をフレイムキャノンで焼き滅ぼす彼女の息は、受ける手傷が増すに従って、次第に荒いものになっていく。土蜘蛛勢の攻撃に飲み込まれていく明良の耳に、後続の仲間達が自分を呼ぶ声が聞こえる。だが、彼女は地面に倒れ込み、そのまま二度と動く事は無かった。

 チーム【葵】の稲荷・姫狐(高校生ファイアフォックス・b10806)は、後衛からの援護を受けながら他のチームメンバーと共に連携して戦っていた。だが、敵の横に回り込もうとした姫狐の動きが隙を生む。間に入り込まれ、仲間と分断された彼女の体は蜘蛛童の糸に封じられ、そして空を裂いて突き立つ矢がその命を奪い去る。
「蜘蛛なんて、大っ嫌いよ……」
「姫狐さん!!」
 紅華・エフォニード(紅空の魔女・b02682)が悲鳴のような声を上げると同時、力の抜けた姫狐の手から握っていた鉄球が零れ、山の斜面を転がり落ちていく。

 防衛線を突破するたび、突撃部隊の戦力は敵の攻撃によって着実にすり減らされていく。だが、能力者達は、その戦意を失う事は無かった。
「畜生……!! これ以上、やらせるかよ!!」
「仲間の仇だ、土蜘蛛共を、ここで絶対に倒せ!」
 ここで退いては、ここまでの犠牲に報いる事など出来はしない。不退転の決意と共に、能力者達は葛城山を進んでいく。
 その意志がもたらす攻勢の前に、土蜘蛛勢の防衛線は確実に押し下げられていった。幾多の犠牲を払ってまでも進んで来た道を下がっては、ここで戦いを選んだ意味が無い。
「死んでなんてやるもんか……アタシにはまだまだ、やる事があるんだ!」
 雨月・藍乃(天衣無縫・b00463)の突き上げた拳を腹に受けた鋏角衆の一人が吹き飛び、そして茂みに突っ込んだ。荒い息をつきながらも次の敵を求めて周囲を見回した藍乃は、それに気付いて思わず声を上げた。
「……あ……!」
 能力者達の前を遮っていた木々の向こう、開けた場所がある。そこに見えているのは、土蜘蛛達の本拠地、葛城山の聖域に他ならなかった。他にもそれに気付いた者達が、口々に仲間達を鼓舞しはじめる。
「みんな、敵の本拠地はもう少しだぞ!!」
「あと少しだ、目の前の敵を倒せば、俺達は辿り着ける!」
 快哉と共に、能力者達は最後の防衛線を打ち崩す。
 それは、銀誓館学園の能力者達が、この戦いにおける最難関を突破した瞬間でもあった。


●総攻撃開始

 土蜘蛛達によって幾重にも構築された葛城山の防衛線を、能力者達は犠牲を出しながらも突破した能力者達。
 木々に遮られていた視界が開けた時、そこには土蜘蛛達が守りを固める場所が見える。
「あれが、この葛城山に集った土蜘蛛の本拠か!」
 能力者達は、そう直感した。満身創痍になりながらも、状態の突撃部隊は、それでもその役目を果たしたのだ。
 この葛城山での戦いにおいて、既に20人もの犠牲が出ていた。
「突撃部隊の犠牲に報いるためにも……一匹たりとも逃がさない!」
「ああ、蜘蛛達はここで殲滅する!」
 突撃部隊に続いて役目を果たすのは、包囲部隊に属した者達だ。彼らは素早く展開すると、土蜘蛛の本拠を四方から取り囲んでいく。包囲部隊の後詰には後衛部隊、さらにバックアップ部隊が続き、三重の包囲網によって敵の突破を万が一にも許さない構えだ。
 そして、バックアップ部隊は同時に、怪我人の搬送などの業務も同時に担っていた。
 葛城山の外に出られないように包囲自体は進んでいたが、ここからはその包囲網を狭めていく事になる。
「守りを固めているのは蜘蛛童達や土蜘蛛の巫女の人達みたいだけど……緑や赤のものは少ないように見えるわ」
 双眼鏡を覗き込んだ九重・陽菜(高校生ファイアフォックス・b04853)がそう報告するのに、芳賀・柊輔(闇に縛られる者・b02565)が応じる。
「敵はこの葛城山に篭城していたようなものだ……こちらに攻撃を諦めさせられなかった以上、相手の勝ちはありえないさ」
 篭城戦において、篭城する側が勝利出来る可能性は2つある。
 1つは外部からの援軍によって、攻め寄せる側を追い払う事。
 もう1つは、攻め寄せる敵に、攻撃を諦めさせる事だ。
 今の土蜘蛛達に援軍が現れる可能性は薄い以上、敵は防衛線で被害を強いる事によって、銀誓館学園の能力者達に攻撃を諦めさせなければならなかったのだ。
「だから、敵は防衛線に強い連中を配置していたってわけだな……」
「てことは、土蜘蛛には、あれ以上戦力的な余裕は無いって事か」
 能力者達は、勝利への確信を深めつつも油断する事なく包囲網を形成していった。目指す地点に、土蜘蛛の女王である眞由璃がいる事は疑いようが無い。
「たとえ全ての蜘蛛を倒しても、女王が生きている限り戦いは終わらない。その様に思えます」
「ここで確実に決着をつけなければ、突撃部隊の皆に申し訳が立たないからな」
 狩野・美虎(高校生魔剣士・b01837)が固い表情で言うのに、ツカサ・カミナギ(黒い子猫の飼い主・b00171)がそう応じた。
 山中の突破で大きな役割を果たした突撃部隊からは、合計20名もの死者が出ている。
 ここで一匹でも逃がしてしまっては、彼等の勇戦に報いる事は出来ないだろう。葛城山中の本拠地を守備する土蜘蛛側を、さらに取り囲むように能力者達は布陣する。
「ローラー作戦っていったところだね。完全に取り囲んで、無理せず少しずつ削っていけばいいのさ」
 一之瀬・きさら(涙とかす太陽の輝き・b00157)の言葉の通り、いまや状況は一変していた。
 もはや、山中の防衛線を突破した時の様な、被害を強いられる戦いはしなくて良い。
 傷ついた者を後方に下げながら、少しづつ少しづつ包囲の輪を狭めて行けば、数で勝る能力者達の側の勝利は揺るがないのだ。
 包囲が完成したならば、前衛部隊と突撃部隊の残存戦力によって、本拠地への全力攻撃が行われる手筈となっている。
 真壁・伊織(天仰ぐ蛟龍・b01637)は土蜘蛛達の本拠へと視線を投げた。
「世界結界以前の世界では、土蜘蛛達がどうやって人間と共存してたのかには興味があるけど……勝ってから聞けばいいか」
「案外こうやって結界の中に引き篭もって、巫女だけと共存してたんじゃない?」
 綿貫・美空(和狸・b01208)が、そう答えながらリボルバーガントレットに包まれた拳を握る。

「生命賛歌がありゃ、この戦いももっと楽勝だったんだろうな」
 突撃部隊の只埜・光太郎(プライスレスコータロー・b21706)が悔しげに言う。
 この葛城山での殲滅戦は、ここに至るまでの強行突破によって、多くの戦死者を出してしまっている。
 だが、土蜘蛛戦争における敵拠点……例えば迷宮古墳や土蜘蛛屋敷での戦いは、数千の土蜘蛛勢と能力者とがぶつかり合う、今の戦いよりも厳しいものだった。
 この葛城山での被害が大きく出たのは、敵の防衛線が堅固だった事もあるが、生命賛歌の有無に大きく由来している。
 銀誓館学園のメガリス破壊効果である生命賛歌には、能力者達の生存確率を大きく引き上げてくれる力がある。今回の戦死者達も、生命賛歌の力さえあれば命を落とす事など無かったはずだ。
 メガリスがもたらす恩恵、その影響の大きさを、能力者達はこの葛城山での戦いを通して実感する事となっていた。

「みんな、深追いは禁物よ!」
 反応して動き出す敵を前に、【絆組】を率いる雛宿・籠姫(永炎の妖魔少女・b05888)が警告を飛ばす。応じる声が上がり、能力者達は確実に敵を駆逐していく。
 深追いしなくとも、包囲網の内側にいる敵はいずれ必ず倒す事が出来るのだ。もはや急ぐ必要すら無く、能力者達は慎重かつ確実にその包囲を狭めていく。

 その戦いは、敵に行動を阻害されていた防衛線での戦いとは異なっていた。
 前衛に立った者達が敵の攻撃を押し留め、後衛が彼等を癒し、そして火力で援護する。
 そうした確実無比の戦い方をする事が、能力者達には許されていた。アビリティが尽きた者や戦闘不能に陥った者を、迅速に下がらせる態勢も整っている。
 誰かが集中攻撃を喰らうような状況は作らせず、例え集中攻撃を受けてしまったとしても、すぐに他の者達がフォローする。
 理想的な戦い方が出来たのは、御所市での戦いから経た時間も一因だったと言えただろう。
 なぜなら、チームを組んだ能力者達が、その連携がもたらす力を存分に発揮出来ていたからだ。

「集中攻撃だ! 確実に一体ずつ仕留めていけ!」
 黒澤・和泉(高校生青龍拳士・b13754)が、【悪鬼夜行】の仲間達にそう指示を飛ばす。
 彼等に接近してきた相手は、その多くが後衛が飛ばす多数の遠距離攻撃の前に、攻撃するより前に倒れていた。他の能力者達とも積極的に協力し、【悪鬼夜行】は着実に戦果を積み重ねていく。
「ヒーリングヴォイスが切れたら下がるからね。みんな、いいかい?」
 白神・鳴海(高校生魔弾術士・b14600)の声に皆が応じるが、その時はまだ当分先だと思えた。
 一方で【鬼島】は、周囲の能力者達とも連携を取りながら、敵を着実に削っていった。追い込まれて自分達の方に向かって来た蜘蛛童達は確実に倒し、位置取りによって敵を多数で攻撃出来るよう、有利な位置へと移っていく。

 包囲が狭められるにつれて敵の抵抗はその激しさを増していくが、それでも能力者達の優位は揺るがなかった。
 滅亡を間近とした土蜘蛛達がどんなに必死であろうとも、銀誓館学園の能力者達とて、必勝の決意に変わりは無い。
「これ以上、土蜘蛛の被害は出せない!」
 多田・竜司(高校生魔弾術士・b06483)は、真正面へと炎の魔弾を打ち放つ。仲間の白燐奏甲によって強化された魔弾が正面にいた蜘蛛童の一体を打ち抜くと、それが消滅するのを見届けるよりも速く飛来した矢を箒で叩き落す。
「無理はすんなよ、でも誰も、逃がさねーけどな」
 蒼間・夜刀(水月の刃・b02968)は、【Durandal】の仲間達に声をかけつつ自ら前に出た。緑の光を放つ蜘蛛童・膨が、夜刀の鋭い一閃でその動きを完全に止める。

 チーム【GOD】は、援護アビリティを使いつつ敵が近づくのを待ち受け、そして一斉の攻撃で倒していく。じわじわと距離を詰め、敵との距離が縮まったところでまずは佐藤・阿修羅(退魔戦鬼・b09259)のガトリングガンから無数の弾丸が放たれる。
 業を煮やした敵が白兵戦の距離まで近づけば、援護アビリティで強化された攻撃が待ち受けているのだ。
 大した被害もなくまた一群の敵を退け、夕樹・舞花(戦うホステスさん・b06989)が軽い調子で仲間達に笑顔を向ける。
「この調子、この調子! みんな、怪我は無いわね?」
 その近くでは、防衛部が前衛の【獅子】と後衛の【盾】、2部隊間で緊密に連携を取りながら敵を打ち倒していた。
「行くぞ!」
 【盾】の甲賀・零壱(メランポス・b01147)の放った雷の魔弾が直撃し、蜘蛛童の足が止まった。その瞬間、旋剣の構えから観月・咲夜(高校生スーパーモーラット・b00323)が放ったダークハンドが、その一体を貫き止めを刺す。
 近接攻撃主体の【獅子】を【盾】が射撃攻撃で援護し、互いを補い合いながら、彼等は敵の守備を一枚一枚堅実に剥ぎ取っていく。
 その一方で、全く容赦というものを感じさせない戦い方を続けていたのが【FLAK】だ。
「テメェら! 蜘蛛にヤられるようならオレがヤってやる。さっさと片付けろ!」
 イド・ルクセンベール(ギアストラーダ・b06956)の檄に応じ、メンバー達は迅速に敵を倒していった。
 大物狙いで行く事を意識する彼等は、前線に躍り出るとあえて強敵の方へと向かっていく。
「……燃やせ」
 東・零次(煉獄の亡霊・b02852)の炎の魔弾に続き、仲間達の攻撃が赤い光を放つ蜘蛛童・爆に集中する。また新たな敵を求めて次々と位置を変えながら、彼等は退く事なく戦い続けていった。

 【錬/居】の、実に30名を超えるメンバー達は、その数と連携の力で包囲網の一角を完全に守り切り、確実に敵を駆逐していた。
「来るぞ!」
 日本刀や弓矢を手にして向かって来る土蜘蛛の巫女達を認め、工藤・一弥(堕落天使・b02096)が皆に警戒を促す。蜘蛛童と共に前進して来る巫女達と激突しながらも、【錬/居】の者達は前衛と後衛が互いに援護しあえる態勢を崩す事無く立ち回る。
 十分なエンチャントを受けた前衛の者達は確実に敵を倒し、そして癒しを受けて後ろに敵を通さない。
 後衛の者達は前の者達を癒し、そして敵の攻撃を受けぬようにしながら射撃を行っていく。
「終わりにしましょう、これで」
 砕牙・伊吹(桎梏ノ夷坦・b07746)の放った炎の魔弾が、土蜘蛛の巫女の一人を打ち倒した。
 そうした戦いの中、武生・亮二(水の中の小さな篝火・b17383)と鴉須七月(b16846)の二人は、倒れた巫女達をバックアップの者達に引き渡す。
「……巫女達とは、分かり合えればいいな」
 意識を失い、運ばれていく巫女達の姿に亮二はそう呟きながら、さらなる前線へと向かっていく。
 下山ルートのひとつを塞ぐ場所にいた【籠】の武藤・旅人(微笑年調伏士・b11445)が投げつけた導眠符に、土蜘蛛の巫女が眠り込んだ。
「眠ってないやつから狙うっす!」
 敵からの射撃の手が弱まれば、前に出た【籠】の仲間達が蜘蛛童達を確実に打ち倒していく。
「これで!」
 神井・上人(白い幻影・b04328)の放ったバレットレインが、迫り来る敵をまとめて薙ぎ払う。刀を手に迫ろうとしていた壮年の男性……土蜘蛛の巫女が地面に倒れた瞬間、お返しとばかりに別の巫女が放った矢が飛来する。
 咄嗟にその矢を避けた彼に、蜘蛛童の一体が踊りかかった。
「くっ!?」
「しっかりしろ!」
 相馬・呉葉(契約者・b11920)が素早く上人に駆け寄りその傷を癒すと、唐津・甲太郎(彼女の為なら空も飛ぶヤンキー・b06586)と大原・ヒフミ(ラメントの蝙蝠・b10648)の二人は倒れた土蜘蛛の巫女の方を引きずって行く。
 草剪・恭介(果て無き混沌・b13532)が前に出て、敵に突破を許さない。
「一匹たりとも、逃がしはしない……さぁ、次はどいつだ!」
 恭介の放ったクレセントファングが蜘蛛童の体を捕らえ、そして引き裂いた。

 戦いの様相は、突撃部隊の者達が突破して来た時とは、明らかに異なるものとなっていた。
「怪我を負った奴は、ぶん殴っても下がらせろ!」
 マイト・ミツルギ(不破の御釼・b08065)の言葉に、【黄金と刃】の者達から笑いが起こる。
 確実に土蜘蛛勢の数を減らしていく中でも、能力者達の側の死者の数は、1つたりとも増えていなかった。
 戦闘継続が困難となった仲間にはすかさずバックアップが向かい、決して敵に命を奪わせない。
 互いに仲間の命を護り、その上で少しずつ前進していく様は、能力者側の余裕を示していると言えたかもしれない。

 突破を図ろうとする土蜘蛛達を阻みつつも、決して無理をしない。
 慎重な戦い方が、犠牲を強いられた突撃部隊の戦いが能力者達の戦いぶりにもたらした変化だったろう。
 そのため戦いは一気に決着せず、一進一退を繰り返す事になっていた。だが、たとえ退いた地点があったとしても、土蜘蛛達がその地点から先へと突破する事は出来なかった。
 包囲部隊、後衛部隊、それにバックアップ……能力者達の側には3重の守りがある。たとえ一時的に退いたとしても、新たな者達がその場を奪い返せればそれで良い。
「メガリスが無い以上……無理は禁物なんだよね」
 キース・モスキート(猫千匹・b05784)はかみ締めるように呟くと、治癒符を飛ばした。前線で戦う仲間の一人が癒され、そして再び敵へと立ち向かっていく。
「怪我人は引きずってでも連れて帰る! これ以上死なせねぇぞ!!」
 瀬崎・直人(高校生ゾンビハンター・b03547)の叫びは、皆の等しくする思いでもあった。
 能力者達は、一人の死者をも出す事無く、その包囲網を狭めていく。
「防衛線を突破した時点で、もう土蜘蛛達の命運は尽きているわ」
「みんな、あと一息よ!」
 九重・陽菜(高校生ファイアフォックス・b04853)と島守・由衣(空を纏う者・b10659)、二人の連携が包囲網を破らんとした土蜘蛛の巫女の一人を打ちのめす。

 能力者達の勝利が揺ぎ無いものである事は、もはや誰の目にも明らかであった。


●幕間 〜土蜘蛛の女王

 本来ならば静寂に包まれなければならない聖域、葛城山。
 その霊的な中心地に作られし葛城の宮は、今、すぐ近くに迫る戦刃の響きに打ち震えていた。
 土蜘蛛達が、聖域に女王を迎えるべく作らせた、土と木と草と、そして糸とで作り出された宮。
 この葛城の宮は、女王が安心して卵を産み育てる為の場所だ。
 産みだされた卵は、十月十日をかけて蜘蛛童にかえり、更に数年の年月を重ねて、鋏角衆や土蜘蛛へと成長する。
 無限繁栄の力は、この新たな時代に土蜘蛛の組織を確立するために必要不可欠な物だったが、組織さえ整えば、子を産み育てて子孫を繁栄させる事ができるはずだった。

 それなのに……。

「我らが葛城の砦が、こうも易々と突破されるとは」
 自分の巫女を失い気力を失いかけている女王の周囲に集まっていたのは、土蜘蛛の中でも特に過去の記憶を残して復活した者達。
 彼らは、今まで多くの来訪者と戦ってきた。
 だが、今、目の前にいるのは、彼らの知らぬ敵であった。

「これほど、軽々しく大組織を滅ぼそうとするのは正気とは思えぬ」
 着物の裾をからげて、乱暴に歩き回るのはまだ年若い土蜘蛛。
 それは、過去の記憶を持つ彼にとっては自明の理であった。
 曲がりなりにも、自分達は土蜘蛛である。
 この日の本でも有数の来訪者の氏族である土蜘蛛を、こうも簡単に滅ぼそうとする敵がいようとは……彼には信じられなかった。
 戦力だけであれば、確かに蘇ったばかりの土蜘蛛をはるかに凌駕する来訪者や能力者の組織がいるのは、仕方の無いことかもしれない。
 だが、
「因縁深い敵対種であれば他の来訪者も沈黙しよう。だが、このような一方的な攻撃は、世界全ての来訪者から敵視されるだけではないか?」
 この疑念は、この場に残る土蜘蛛達にはどうしても解せない事であった。
 木っ端な組織を滅ぼすのとは話が違う。
 土蜘蛛程の大組織を、理由無く一方的に滅ぼすような無法を他の組織の長達が許す筈は無いのだ。

 その独白に、おそれながらと言葉をつむいだのは土蜘蛛の巫女の一人。
「あの〜。他の来訪者なんて存在、私達知りませんよ? 聞いたこともありません」
 その言葉に、土蜘蛛達は、顔を見合わせた。
 目の前の敵は、来訪者という存在を知らないのだ!
 それは、衝撃的な一言だった。

「ならば、今我々を攻撃している者達は、我々をゴーストだとでも思っているのか? メガリスを使いこなせる大組織の者達が?」
 ゴーストが能力者と同様、この地上に発生する事象であるのは明白である。そのゴーストと来訪者を混同する事など、本来ありえる筈も無い。
 だが、人は時に恐ろしい勘違いをする生物であり、同じ種族の中で同士討ちすら行う事を、彼らは覚えていた。
 その場の土蜘蛛達の視線が女王に集まり、それに答えるように土蜘蛛の女王、国見・眞由璃が口を開いた。
「今からでも遅く無いかもしれません。和睦の使者を……。誤解を解く事ができれば、この戦いを止められるかもしれません」

 だが、この遅すぎる使者は、乱戦に巻き込まれて命を落としてしまう。いや、ここまで勝敗が明らかになってからの和睦など、所詮、受け入れられる物ではなかったのだろう。
 既に土蜘蛛の敗勢は明らかであり、彼らの滅亡までに残された時間は、ごく僅かとなっていたのだ。

 そして、今、宮の扉が破壊される音が響き、侵入者の足音が近づきつつあった。


●葛城の宮

 葛城の宮の入り口を突破した能力者達は、その内装に驚きを隠せなかった。
「なんだこりゃ。蜘蛛の巣っていうより、どこかの神社か寺って感じだな……」
 暗い通路を、白燐蟲使い達の白燐光が照らし出す。
 次第に明らかになる中の様子は、聖域と呼ばれるのも頷かれる、荘厳なものを感じさせた。
「突出はするなよ、どこに罠があるか分からない!」
 相澤・頼人(高校生魔剣士・b01073)がチーム【虹翼】の仲間達に警告を発した。突撃部隊が払った犠牲を、再び出すわけにはいかないのだ。
 通路を進んだヴォルハルト・シュヴァルツケニヒ(宵闇を疾駆る皇狼・b10089)は角を曲がりかけ、そして即座に後方へと跳躍した。
 ヴォルハルトの目前で編み笠が刃を唸らせながら虚しく空を切り、持ち主のもとへと戻っていく。
「死角からの攻撃……見え見えだ!!」
「くっ……ここから先は、一歩たりとも通させるな!」
 曲がり角の向こうに布陣するのは、土蜘蛛達と生き残りの鋏角衆達だった。ゴーグルを付けた彼等が次々と放つ編み笠が通路の空気を裂くと同時、巨腕の如き詠唱兵器を唸らせて土蜘蛛が迫る。
 飛来した編み笠を弾き飛ばし、【ゲーティア】の伊達・白妙(悪魔な小生意気・b12868)の影が長く伸びた。ダークハンドに貫かれた土蜘蛛は、続けて身を襲った毒に膝を折る。
「皆は、やらせないよ!」
「ここが最後! 露払いは私達に任せて、みんなは先へ!」
 篤川・朔羅(黎明舞う片翼の桜姫・b14566)は、【炎月雪華】の仲間達と共に一気に通路を駆け抜けた。
 ヒーリングヴォイスで傷を癒しながらの戦いは、明らかに能力者達の側に分があった。
 通路を守っていた敵部隊は、連携の取れた攻撃の前に、瞬く間に全滅させられる。
「さぁ、速く女王の元へ!」
 桜郷・咲癒(夜桜の旋律姫・b02841)のヒュプノヴォイスが、廊下を迫り来ようとした蜘蛛童達の動きを押し留める。

 その戦いの様子は、能力者達の勢いをそのまま表していた。
 もはや風前の灯火となった土蜘蛛達は、女王である眞由璃を守るため、命を賭して能力者達に挑みかかる。
 だが、怒涛の勢いで葛城の宮に雪崩れ込んだ能力者達は、葛城の宮各所で守りを固める土蜘蛛達を、次々と倒していった。
「この奥に、女王がいる……!!」
 包囲網を狭めていた時と同様に、内部へ突入した能力者達は慎重かつ確実に葛城の宮を制圧していく。
 外では残敵を掃討した包囲部隊が、水も漏らさぬ構えを固めている。
 だが、女王を倒さねば、この戦いは終わらないと誰もが意識していた。
 そして、その終わりが訪れるのは間近い事も。

「おっと、あなたを殺す気はありませんよ」
 月影・微(宵闇の帷・b03250)は、倒した土蜘蛛の巫女ににっこりと微笑みかけた。先の土蜘蛛戦争の時と同じく、土蜘蛛の巫女は捕虜にされている。
「ちょっとの辛抱ですからね〜」
「……あ、在原様、お助け下さい……!!」
 切れ切れの悲鳴を上げる巫女に六丸・米蔵(高校生符術士・b21919)は苦笑する。
「なんか、罪悪感感じちゃうなぁ……」
 ヒュプノヴォイスで巫女を眠らせるた米蔵が、巫女を引き渡しそうとしたその時だった。
「待て! 貴様ら我の従者をどこへやろうというのだ!」
 唐突に現われた土蜘蛛が振り回す巨腕を、微は黒帝鍵でしっかと受け止める。
 バックアップの者に引き渡された巫女を見、おそらく在原というのであろうその土蜘蛛は能力者達へと続けざまに腕を叩き付けて来る。
 だが、その戦いも一人では虚しかった。
 駆けつけた【LS】に取り囲まれたその土蜘蛛は、彼等の連携の前に膝を屈した。安藤・ツバメ(烈風と爆熱の戦乙女・b03956)の両手につけた篭手が、土蜘蛛の体を打ち据える。
「終わりよ!」
 壁に叩きつけられた在原は、もはや瀕死と誰の目にも思えた。だが、
「おのれ……目の前で従者をかどわかそうという者に、一矢報いもせずに命を落とせようか!」
 血反吐を吐きながらも立ち上がるその姿に、能力者達は鬼気迫るものを感じていた。しかし、こうした事態を予測していた一・一(はぐれ符術士やんちゃ系・b00179)は、その鬼気にも冷静さを崩さずに対処する。
「そちらが凌駕する事は、予測済みだ」
 振るわれた錫杖に、在原は前のめりに倒れ込んだ。彼を取り囲んだ能力者達の中、夜紅天・黒(中学生魔剣士・b07168)が、在原の首筋に剣を押し当てる。
「取り逃がすのは、失礼だね。……僕が、殺すよ」
 剣を握る黒の手に力が込められようとした、その時だ。

「おやめなさい」

 凛とした少女の声が、能力者達の耳朶を打った。
 一斉に能力者達が視線を向ける闇の中から、彼女はゆっくりと現われる。
 セーラー服を纏う黒髪の少女。赤い武者鎧の如き詠唱兵器に覆われた右腕を持つその姿は、異形の美を湛えていた。
 彼女の姿を、彼女の名を、能力者達は知っている。
「土蜘蛛の、女王……」
 国見・眞由璃だった。
 滅びに瀕した女王は、威厳に満ちた紅の瞳で能力者達を見据える。
「お前達が欲しいのは、私の首でしょう。唯一人である女王の私が死ねば、組織としての土蜘蛛は滅亡します」
 この状況にあっての眞由璃の言葉は、ある意味で敗北宣言とも取れるものだった。だが、その口調にはいささかも怖じる気配は見られない。
「さあ……土蜘蛛族を滅ぼした悪名が欲しい者は、遠慮なくかかって来るがいい」
 静かな声で告げ、こちらを睥睨する眞由璃に対し、迷い無く進み出る者が一人いた。
「一騎打ちを、希望します」
 白銀の剣と斧を手にそう宣言するのは、白銀・征人(太陽の翼・b05621)だ。
「いいでしょう。ですが土蜘蛛の女王たるこの私、そう易々と討ち取れると思われては困ります」
 能力者達にざわめきが走るが、眞由璃が応じた以上、それを拒否する者はいなかった。今の彼らには、それを認めるだけの余裕がある。
「この戦いに終止符を打ちます! 恨みも憎しみも今日限りですっ!」
 征人の決意に微笑を浮かべると同時、眞由璃が前へと進み出た。
 床を抉るような下段から、撥ね上げられる朱の貫手。それを剣の峰で弾いた征人は、詠唱兵器を持たない眞由璃の左腕の側へと飛び込んだ。輝く切っ先を彼女に向け、
「これで!」
 踏み込むと共に、眞由璃の黒髪がはらはらと舞い散った。珠の肌を掠めた切っ先が、彼女のセーラー服に血を滲ませる。
 だが、征人の動きに呼応して身を翻した眞由璃に対し、それは有効打とは言いがたい。
 そして、舞い飛ぶ髪の向こうに征人は見た。眞由璃は既に天に向かって腕を振り上げ、その硬く握られた拳は、杭を打つかのように振り下ろされる。
 そして拳は、まるで吸い込まれるかのように狙いあやまたず征人の頭部を打ち据えた。
 床に叩きつけられた征人の姿に、彼の属するチーム【守護獣】の者達から押し殺したような声が漏れる。
「その決意は見事。ですが下賎な人間の能力者が、たった一人で土蜘蛛の女王に勝てるはずが無いと知りなさい」
 眞由璃は運ばれていく征人に言葉を投げると、居並ぶ能力者達に視線を向け、そして告げた。
「さあ、次に私の足元に這い蹲りたいのは誰です?」
 その言葉と共に、葛城山殲滅戦における最後の戦いは、その幕を切って落とされた。

 轟・ツバメ(鉄ちゃん・b04795)は、スワローエンジェルを構えて真っ向から女王へと突っ込んだ。
「今度こそ、迷わずあなたの息の根を止めてみせるわ!!」
 ロケットスマッシュが眞由璃の赤い腕に阻まれ、甲高い音が響き渡った。
 瞬間、振り回された腕から眉をしかめて距離を取ったツバメに続き、桜郷・咲姫(雪桜の舞闘姫・b01888)が二刀を手にして前へ出る。
「……私怨はない……けど、これ以上の犠牲を出さないために貴女を討つ」
 断ち切りの音が響き、眞由璃の肌が血に染まる。苦痛の表情を浮かべた眞由璃は、それでもなお戦意を失う事無く腕を振るい続ける。
「この程度で……!」
「頑張るな……けど、これで終わりだ。チェックメイト!」
 刹那、榊・多由也(肉球三爪痕・b02158)の魔道書から放たれるのは雷の魔弾だ。空気を焦がしながら飛び行く雷光に膝をついた瞬間、控えていた島原・真魚(ランブルフィッシュ・b17091)が床を蹴る。
「御命、頂戴する」
 真魚が逆手に構えた忍者刀は、まっすぐに眞由璃の胸へと吸い込まれた。
 刀が引き抜かれると同時に鮮血が溢れ、眞由璃のセーラー服の色がさらに深まる。
 自らの血に染まりながら、眞由璃は自らを倒した能力者達をゆっくりと見渡した。
「……土蜘蛛も、私の代で終わりなのですね……。女王である私が死ねば……率いる者がいなくなった土蜘蛛は、四散するでしょう」
 彼女の口から告げられるのは、土蜘蛛の滅び。
 一つの組織の完全なる終焉だ。
「私は次代の女王をまだ産んでいません。組織としての再起は、もはやありえない……。人間の、能力者達よ……。願わくば、遺恨を捨て……私の子供達に、寛大な処置を……」
 ごぽり。
 眞由璃の喉から血が溢れ、そして言葉は途切れる。
 それは、この葛城山での戦いの終結を意味していた。

 【月影の虹】の仲間と共に戦いを続けていた都築・アキ(報復シ応酬スル刃・b16871)は、唐突に動きを止めた土蜘蛛に怪訝な表情を浮かべた。
 目の前の土蜘蛛は天を仰いだかと思うと、ふらつく様に床に座り込む。
「……どういう、つもりだ」
「女王が、倒れた。土蜘蛛は終わりだ……これ以上、戦っても意味は無い。……好きにしろ」
 土蜘蛛の言葉に、アキは思わず息を呑む。それは、明らかな降伏の宣言だった。

 葛城の宮の各所で戦いを続けていた土蜘蛛達は、女王の死と共に次々と能力者達に降伏していった。それを認めようとしないものもいたが、それは周りの者に押し留められる。
「降伏は、認めましょう」
「ま、白旗あげての全面降伏やし、認めてやってもええかな……」
 鴉颯・霧歌(蒼天を舞う生命の息吹・b16079)と福嶋・由希子(白衣の剣士・b05383)は、バックアップの者達と共に降伏した土蜘蛛や鋏角衆達を捕縛していく。
 そして能力者達は捕らえた土蜘蛛達と共に、葛城山を下っていった。
 捕らえた土蜘蛛達は、先の土蜘蛛戦争や、この葛城山殲滅戦で捕らえた巫女ともども、安全な場所に隔離される事が決定される。
「人と似た姿を持ち言葉も通ずるのだから……」
 片崎・澪(白雷閨傑・b05292)は、戦いが続かねば良いと願う。
 戦いと共に生ずる犠牲を、これ以上誰も望んではいなかったのだ。

 かくして、葛城山殲滅戦は、土蜘蛛という組織を完全に壊滅させる形で決着がつく事となった。
 葛城山に合流できなかった蜘蛛童などが、まだ奈良県内の各所に潜んでいる可能性はある。
 だが土蜘蛛の女王は既におらず、組織として土蜘蛛が再び力を持つ事は無いだろう。
「これで終わりだ! さぁ、鎌倉に帰るぞ!」
「……今回も、あの温泉に寄っていっちゃ駄目かな?」
 疲れた様子で言う宵咲・沙羅(氷華・b02305)の言葉に、自然と笑いが起こる。
 能力者達は傷ついた者に腕を貸し、犠牲となった者を悼みながら、銀誓館学園へとの帰路を辿っていくのだった。



<方針決定>
(1)葛城山殲滅戦の遂行を支持する 1636
(2)葛城山殲滅戦の遂行を支持しない 1064

<葛城山殲滅線の参加状況>
【突撃】として参加 234
【前衛】として参加 549
【後衛】として参加 479
【包囲】として参加 354
【バックアップ】として参加 842


<有力な敵の情報>
敵NPC 戦功点 現状
国見・眞由璃 200 葛城の宮にて、島原・真魚(ランブルフィッシュ・b17091)に倒され、その命を終える。
<死亡者一覧>
ノー・アカリ(高校生白燐蟲使い・b10091) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 鋏角衆
椿・時雨(高校生ゾンビハンター・b19790) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 鋏角衆
霧生・緋鶴(高校生霊媒士・b11311) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 蜘蛛童
姿月・輝(高校生白燐蟲使い・b10916) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 蜘蛛童
ベルベット・サテン(高校生月のエアライダー・b21259) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 土蜘蛛
安藤・隆兵(高校生魔剣士・b21325) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 土蜘蛛
地蔵院・稀千代(中学生魔剣士・b22236) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 蜘蛛童
桃瀬・林檎(小学生魔剣士・b22527) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 蜘蛛童
石川・八三三(高校生魔剣士・b08413) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 蜘蛛童
趙・獅龍(小学生月のエアライダー・b21261) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 蜘蛛童
葛城・圭助(高校生白燐蟲使い・b13445) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 鋏角衆
石川・二六(中学生魔剣士・b10853) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 蜘蛛童
成海・明良(高校生ファイアフォックス・b05128) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 土蜘蛛
李等・堯寛(中学生青龍拳士・b12973) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 蜘蛛童
稲荷・姫狐(高校生ファイアフォックス・b10806) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 土蜘蛛の巫女
ブル・マーニア(高校生フリッカースペード・b06743) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 土蜘蛛の巫女
六頭田・開生(高校生青龍拳士・b18157) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 鋏角衆
神楽崎・栗栖(高校生魔剣士・b21141) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 鋏角衆
ツァイト・ネーベリッヒ(高校生魔剣士・b12355) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 蜘蛛童
アルテミス・クリムゾンムーン(高校生魔剣士・b19692) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 鋏角衆
富井・歩行者(小学生魔剣士・b22724) ●葛城山殲滅戦 〜突撃 蜘蛛童