<リプレイ>

●出発進行!
「さてっと、私もそろそろ出発しようかな♪」
 その手にたくさんのマル秘情報を抑えた手帳を携えて、長谷川・千春(中学生運命予報士・bn0018)は、喫茶店巡りへと出発する。
「実は、この手帳に投票集計の結果が書いてあるの。でも、賞を取った人達を驚かせたいから……私が知らせるまで内緒でね」
 そう、千春はこれから、賞を取った店へと向かう。
 果たして、今回の結果はいかに?

●気になる第3位は?
 千春が校門前を通り過ぎたときであった。
「ビラをどうぞー、ぜひお越しくださいー」
 そう言って、手作りのビラを手渡すのは、桐見・和也(空想と現実の狭間で・b17974)。
「ありがとう♪ あっ……ここって……」
 千春はくすっと微笑み、ビラに書いてある場所へと向かっていった。

 店の前には、達筆な看板が立てかけられていた。
 その店の看板を確認して、千春はビラを片手に、店の扉を開いた。
「こんにちはー! 団長さんいますー?」
 その千春の声に奥からぱたぱたとやってくる店員が一人。
「いらっしゃいませですぅ〜。団長ですかぁ?」
 可愛らしい模様の入った浴衣に身を包む、白鳥・奏(高校生ファイアフォックス・b02423)だ。
「団長さんに直接、お話したかったんだけど……」
「すみませんですぅ〜。今、ちょっと席を外していてぇ、すぐ戻ってくると思うんですがぁ〜」
 千春を席に案内しながら、何の御用ですかぁと訊ねる奏に。
「おめでとうございますっ! 田舎茶屋『まったり茶房』さんの『まったり茶房』野点茶屋が3位に選ばれたんだよっ!」
「え? ええっ!!」
 千春に言われて、奏も驚きを隠せずにいる。
「え、えっと、その……急いで団長呼んでくるのですぅ〜!!」
 ぱたぱたと奏は、店の奥へと戻っていった。
「ありゃりゃ、ちょっと来るタイミング、悪かったかなぁ?」
 千春はちょこんと座って、奏が来るのを待っている。
「あ、頭にきーんときたー」
 その後ろで、客としてきていた明葉・如路(玖音の辺葉・b00546)が、レモン味のカキ氷を食べて、くうっと頭を抑えていた。
「この、のどかな雰囲気がよかったのかな?」
 姿を消した団長、金代・未来人(明るい笑顔と非情な冷笑の共存・b01687)が来るまで、千春はまったりと茶房で待っていたのであった。

●こちらが2位です!
 銀誓館学園のとある中庭。
 揺れる木漏れ日の下、柔らかな夏草と鮮やかな花々に囲まれた白いテーブルと椅子が置かれていた。
「えっと、確かここだよね……」
 千春が躊躇う理由、それは。
「お帰りなさいませご主人様!」
 その頭にはふわふわしたネコミミとしっぽ。可愛らしいフリルをふんだんに使ったメイド服。
 そして……それにちょっと不釣合いのような、184.7cmの精悍な体つき。
 いや、元気でやる気があるのは良いのだが。
「ここで止まっちゃダメだよね、うん!」
 勇気を出して、一歩前進!
「たのもーっ!!」
「お帰りなさいませお嬢様!」
「うっ……」
 やっぱりそれでもたじたじな千春であった。ちなみに、千春を出迎えたのは、三神・清流(源清流清・b02342)で、れっきとした男性であることも付け足しておく。
「いらっしゃいませ、お嬢様。当店の看板、猫耳メイドを御所望ですか?」
 たじたじな千春を見かねたのか、槙野・章(永劫の騎士・b02879)が声をかける。
「あ、そ、その……団長さんいますか?」
「団長? 俺だけど……」
「おめでとうございますっ!! 銀誓防衛部さんのCafe de Lionが、2位に選ばれました!」
「え? ほ、本当!?」
 どうやら、章もこの企画で2位に選ばれるとは思っていなかったらしく。
「嘘じゃないよ。本当なんだから」
 千春はもう一度、おめでとうとお祝いの言葉を述べた。

「うわー大きいメイドさんがいるー!」
 嬉しそうな声をあげているのは、金・秀元(柔麗剛獣・b19161)。
「三神様も素敵ですし……心の篭もった紅茶に御菓子……幸せですね……」
 そして、秀元の友人である如月・棗(焔超克・b17829)も幸せそうに瞳を細めていた。
 どうやら、ここでのオープンテラスは、いろんな意味でよかったようだ。
 千春もたくさんの美しい(?)メイドさんと格好いい執事さんに囲まれて、美味しい紅茶とお菓子を堪能したのである。

●あれれ、迷子になりました? 特別賞のお知らせです
 今、千春はキャンパス地図をひっぱりだして、じっと睨みつけるかのように確認していた。
 自分は、今、どこにいるのだろうかと!
「人込みに巻き込まれて、ここまで来ちゃって、あと2箇所行かなきゃいけないのにっ!」
 焦る気持ちが更に拍車をかけているようだ。
「あのーどうかなさったんですか?」
 そんな迷子の千春に救いの手が差し伸べられる。声をかけたのは朝沼・狭霧(信じることをやめないで・b02993)。妙に色っぽいのは気のせいだろうか?
「えっと、その……迷子になっちゃって……」
 そう苦笑を浮かべる千春。
「それなら、あそこに行くといいわよ」
 にこにこと狭霧に連れられて、千春はとある場所へとたどり着いた。
「ああああっ!! こ、ここはっ!!」
 驚く千春をそのままに。
「来てくださって、ありがとうございますデスの」
 レディ・シルヴァー(恋する風紀の天使さん・b02188)がお出迎えするこの場所は。
「おめでとうございます! P.M.ガーディアンズさんの【P.M.G】迷子センターが特別賞に選ばれましたっ!」
 千春の言葉にレディはきょとんとしてしまう。
 そう、千春がたどり着いた場所は、迷子センターだったのだ。しかもカフェテラスをかねた迷子センターであるため、どちらかというと、カフェを目的に来た者達が多かったりする。
「あ、あの、ほ、本当ですの? う、嬉しいですの〜」
 団長であるレディは嬉しそうに、ぺこりんと千春に頭を下げた。
「いえいえ。ところで……レディさんに一つ、頼みたい事があるんだけど」
「どうぞ、言ってくださいませ」
「ここって、どうやって行けばいいかな?」

 後日。
 天鳥・てふてふ(魔女っ娘委員長・b00248)は語る。
「迷子の子の相手はなかなか大変ね……」

●栄えある1位は!?
 千春はレディとてふてふの説明通りに、校舎へと向かっていた。
 どうやら、目当ての場所には無事、たどり着けたようだ。
 千春はほっとした表情を浮かべ、開いていた手帳を閉じた。
「さて、最後はとってもお楽しみの……」
 そして、がらっと、勢い良く、その店の扉を開く。
「おめでとうございますっ!! 結社、いちご屋さんのゴースト喫茶でロシアンケーキ!が見事……」
 千春の目の前にいたのは、のっぺらぼうに扮した店員であった。
「きゃあああーーー!!」

 ………しばらくお待ちください。

「もう、大丈夫ー?」
 可愛らしいドレスを着た篠江・依月(いつもねむねむ・b04164)が、メニューとお水とを千春の前に置く。依月は、動くフランス人形の扮装をしている。こうして、接客していなければ、等身大の人形として見間違えてしまうほど。ちなみに依月はこう見えても男性である。
「事前に、ゴースト喫茶って聞いていたから、そんな気はしてたんだけど……ごめんなさい。ちょっと取り乱しちゃって」
 はっと、千春は顔を上げた。
「あっと、驚いていたから、発表が中途半端になってたよ。もう一度、言わせて貰うね!」
 すくっと、その場に立って、千春はもう一度、笑顔を浮かべた。
「おめでとうございますっ! 喫茶店巡り、1位の企画は、いちご屋さんのゴースト喫茶でロシアンケーキ!です」
 その千春の一言で、周りから盛大な拍手が贈られた。
「え? それ、本当!? 嬉しいよーっ!!」
 人参おばけに扮した本田・りん(にんじん歌姫・b14776)も大喜びの様子。
「先ほどは驚かせてごめんなさいですー。今日はゆっくりしていってくださいね」
 そう言って、ぺこりと頭を下げるのは、いちご屋さんの団長、北村・焦行(おで子ちゃん・b10040)であった。
「うん、ゆっくり楽しませてもらうよ。私の仕事は、これで終わりだし……」
 千春は焦行の引いてくれた椅子に座って、もう一度、メニューを見た。
 マンドラゴラの生き血(基本ストロベリージュース、他)や、目玉アイス(目が飛び出るほど美味いアイス)、カエルとイモリの串焼き(クッキー)などなど、出されるものにも工夫が凝らしてある。
 そして、一番は。
「うわっ!! 何でおにぎりっ!?」
 千春から少し離れた席で、三島・月吉(へっぽこ仮面・b05892)が叫ぶ。
「あれって……もしかして……」
「ロシアンケーキだよ♪ 変なものいっぱい入っていて、すごくおもしろいし、楽しいよ!」
 りんがにこっと、そう千春に教えてあげる。
「疾風、大丈夫?」
「……うっうう……甘い豆腐……」
 篠江・疾風(風追い・b17556)は、どうやらかなりヤバイ、ロシアンケーキを引き当てたらしい。その様子を篠江・翔(夢の欠片一雫の歌に・b06091)が不安げに見守る。
「ケーキバイキングに、アイスとカキ氷も!」
 もう一つの席には、紗片・ハルミ(あふれる才能の目眩まし・b09344)が次々と注文を告げる。どうやらこの調子だと、もっと食べるようだ。
「かなり盛況だね」
「千春は何にするー?」
 愛らしい依月に訊ねられ、千春は瞳を輝かせて口を開いた。
「もちろん、ロシアンケーキっ!!」
 果たして、千春が食べたのは、いったいどのケーキだったのか!?
 それは、また、別の話……。