<リプレイ>

●発表の時間だよ!
 日下部・拓海(真ん中フリッカースペード・bn0008)は、さっそく、集計の終わった人気投票の結果を受け取った。
「今回は……この結社が上位を取ったんだね」
 結果を確認して、拓海は嬉しそうな笑顔を見せる。
「それじゃあ、さっそくみんなに伝えに行くね!」
 軽い足取りで、拓海はさっそく、結社企画発表が行われている会場へと急いだのであった。

●まずは3位! 星巡喫茶〜Galactic Railroad〜を覗いてみるよ
 扉を開くと、そこは銀河鉄道でした。
「うわあ……」
 思わず拓海が声を上げる。
 天体観測同盟が行ったのは、銀河鉄道から見える風景を楽しみながら、喫茶店を行うというもの。
 部屋を各車両に見立てて区分けし、それぞれの機能を持たせてあった。
 一つは喫茶車両。ここでメニューを注文する場所だ。
 もう一つは、会話車両。ここは飲食が行えるスペースになっており、その片隅では、時間毎にステージも催されていた。
 展示車両は、天体観測同盟らしい、天体に関する展示が行われている。探査機のジオラマや、宇宙犬のぬいぐるみなどが出迎え、今年は金環日食の様子も新たに加わっていた。
「クドリャフカくんかわいい〜♪ もふもふ〜♪」
 宇宙犬目当てで来た高崎・優一(真モーラットの花嫁・b24417)は、展示だけでなく、クドリャフカをモチーフにしたメニューにもメロメロだった様子。
「あの、すいません……こちらの喫茶店ではテイクアウトが出来るとうかがったのですが…」
「えっと、テイクアウトだいじょうぶですっ! きっぷをはいけんします!」
 宿木・星屋(螢惑・b85073)は、慎重に白山・小菊(懸崖菊花・b26103)の手渡した切符を受け取る。
「それと、こちらは旅の記念の切符の栞です。どうぞ……♪ お料理はただいまご用意致しますゆえ、もう少々お待ち下さいね」
 ジングル・ヤドリギ(吟星クリスマスロイド・b06651)が差し出したのは、先ほどの切符にリボンを通したものだった。
「ありがとうございます」
 嬉しそうな笑顔で栞を受け取る。その後、やってきたバスケットも受け取って、熱の出た伏見・小道(命漆に護られた子供・b28297)と、その彼に付き添っている犀遠寺・限(黄泉津の楔・b26238)に駆け寄っていく。具合が悪い小道を労わりながらも、楽しそうにその部屋を出て行った。
 ふと、目が合った冬日・天祢(ゆびさきかじり・b84835)に、拓海はインタビューを行った。
「メニューとか店員さんの対応とかすごかった! 凝るのって凄いねー」
「うん、僕もそう思うよ」
 ちょっと厨房を覗いてみる。
 初めて参加するというウルリッヒ・タイラ(黒風白雨の人狼武士・b84282)は、そうとは思えない手さばきで、お茶を入れていた。
 ジャック・ボエルジ(ロックパンプキン・b51745)はスタッフルームで連携を取りつつ、手際よく作業を分担していた。
 と、そこでステージが始まった!
「最後までテンションあげてこーぜ!」
 RawOreのボーカルとして矢車・千破屋(燦然・b53422)は、飛んだり跳ねたりしながら、ステージを盛り上げていく。
「やっぱり、ライブが最高ですね!! 毎年楽しみにしているのですけれど、期待を裏切りません!」
 ステージの常連、白雲・禅(緑トカゲと墓地の番人・b64366)は、満足げにライブに見入っていた。
 中にはこんな団員も。
「ずっと憧れて、いて……なかなか機会が無かったんです。けれど……ふふ、店員さんの立場で参加出来る、なんて」
 団員の遠座・繭(蝶を追う指先・b01015)は、少し照れた様子で、そう拓海に教えてくれた。
 拓海は、やっとこさ団長を捕まえて、結果を伝える。
「おめでとう! 今回の人気投票3位は、星巡喫茶〜Galactic Railroad〜だよ!」
 その発表にトリガー・バレンタイン(弾薬フランボワーズ・b69812)は、嬉しそうに微笑んだ。
「銀河鉄道にご乗車ありがとう。車掌役は緊張したけれど、団員さんやお客様の笑顔に支えてもらって頑張れた。この車両を訪れた方たちは皆、素敵な物語の主人公だったわ」

●お次は2位だよ! ☆内田オフィス発表会2012−希望−☆に行こう!
 次に訪れたのは、屋外ステージのそばにある一角。
 そこでは絶えず、歌が聞こえていた。
「僕も歌いたくなっちゃうよ♪」
 思わず歌を口ずさみながら、拓海はそこへと入っていく。
 どうやら、これから小さなステージが始まるようだ。
「ようし、みんな揃ったな。ほいじゃ、軽く音合わせいってみよう」
 本当は歌うつもりだった敷島九十九式・秀都(エクストラエンフォースメント・b57363)。だが、周囲に止められ、泣く泣く演奏のみとなっていた。それでもかなりの腕前であったが。
 メインボーカルを務めるのは、水田・えり子(スターライトティアラ・b02066)。
「本当に本当に……皆、ありがとう♪」
 充実した顔で、楽しそうに歌を歌っていた。
 その傍らで素敵なコーラスをしているのは、不利動・明(大一大万大吉・b14416)。少し緊張した面持ちだが、一生懸命さが伝わる。
「凄いね、ここ……」
 思わず、拓海は呟いた。
 そう、この内田オフィス同好会が行っているのは、歌の発表会。夜に行われた発表会では、数多くの観客を魅了したようだ。
「歌って、生で聞くとこんなにすごいんだね……。えり子さんを初めとするみんな、改めてファンなりました!」
「毎年素敵な曲を聞かせてくれてありがとー♪」
「心のこもった歌で楽しい一時を過ごせました」
「とっても素敵な心温まる発表会……♪ 今年も……ううん、今年は今までで断然感動しました!」
「やっぱり歌は良いですねぇ」
「素敵な音楽を聴けて楽しかったっス!! お客さんも一緒になって歌っていたのが印象的だったっス!!」
「すばらしい音楽を聴かせてもらいました。具体的にどこがと聞かれると答えに窮しますが……あの場に居られて良かったと思います」
 上から順に、御桜・八重(花手毬・b40444)、西野・御子(中学生真処刑人・b16555)、時守・雪菜(ピグマリオン・b52803)、榛菜・織姫(勝利を照らす織女星・b57270) 、光狩・鎌夜(猫の守護者・b60763)、柊・龍之介(大型犬シンガー・b66762)、竜宮寺・武(闇を纏いし守護の剣・b44628)らの温かい客の声が、既に届いている。

 よくみると、ステージの脇には喫茶スペースが設けられていた。
「もしよければ、歌詞を一つ作ってみませんか?」
 結城・結衣菜(ブレイドディザスター・b54577)に言われて、拓海も歌詞を考える。
 どうやら、お客も参加できるよう、歌詞作りができるスペースも用意してある様子。
「歌と聞いて、俺が参加しないわけにゃいかねーだろ。見せてもらうぜ、どんな歌が飛び出すのかを。あ、俺も歌ってもいい?」
 そういって、歌声喫茶で自慢の喉を披露するのは、ファルケ・リフライヤ(爆走する音痴な歌声銀河特急便・b82686)。
「は、はぅ、なんか、すっごく、感動なのです……すごいや……」
 じーんと感動しているのは、客としてこの席に座る川原・透(中学生雪だるま・b34179)。少し遅れてここに来たのだが、それでも十分、この場の楽しさを味わえたようだ。
 ステージを終えた団員からも良い声が聴けた。
 アリス・セレスタイト(不思議の月のアリス・b82668)は。
「皆の歌声が聞けて、本当に素敵だったのですよ。皆お疲れ様です!」
 と、ねぎらいの声をかけていたし。
「初めての学園祭、初めてのステージ。こんな素敵なステージになるなんて……。この1年、悲しい事ばかりだったけど、新しい道を作って進んでいける……そんな気になった……元気を貰えた最高のステージでした!」
 音無・舞子(ムーンライトダンサー・b83874)は笑顔で、そう答えてくれた。
 その後、団長の内田・ゆりな(ブルースターオーシャン・b79935)を見つけ、拓海は声をかけた。
「おめでとうございます! 人気投票2位は、☆内田オフィス発表会2012−希望−☆だよ!」
 ゆりなは驚いて、目を丸くしていたが。
「私が団長になって、参加して2年目。最高の学園祭でした。皆で歌を作って、皆で盛り上がって……♪ 本当に皆で作った発表会、最高です♪ 皆にも、見に来てくれた皆にも、ただ伝えたいです」
 何をと拓海が尋ねる前に、ゆりなは一つ一つ、想いを込めて告げた。
「ありがとう♪」
 その言葉に思わず、拓海の瞳から涙が滲んだ。

●おっと、ここで一息。審査員特別賞発表! クライマックスしりとり
 あれ? あの部屋はなんだろう?
 思わず、拓海が立ち止まったのは、しりとり同好会が主催している場所。
 覗き込むとたくさんの参加者たちが、口々に話している。
「【佃煮】醤油と砂糖の煮付けですね。魚や貝はいいのですが、イナゴとかは遠慮したいです……。次は【に】」
 月代・奏(黒蝶の魔女・b61344)が静かに告げた。
 そう、ここはしりとりを行う場所。また、事前に設定されている『キーワード』を発言すると後でプレゼントももらえるようだ。
「【マスキングテープ】塗装などの現場で用いられる、保護用の粘着テープ。貼ったり破がしたりし易い作りになっている。次は【ふ】【ぶ】【ぷ】」
 と発言した後に、弘瀬・章人(水天一碧・b09525)は拓海の姿を見つけた。
「しりとり同好会の企画も6回目。普段の活動をそのまま企画として行う、これぞ結社活動発表の本質だ。此処まで言葉が繋がってきた事が、初代団長として実に感慨深い。……さあ、日下部もしりとりしてくれよ!」
「え? 僕も?」
 突然、章人に捕まえられて、急遽、拓海もしりとりに参加することに。
 なかなか言葉が浮かばず、時間がかかってしまったが、なんとか単語を言えたときには、なんともいえない小さな充実感があった。
「シンプル・イズ・ベスト! 気軽に、けどたくさんの人が楽しめる企画だと思います」
 そうにこやかに告げるのは、客として参加している琴之音・琴子(とこしえの旋律・b05004)。
「やっぱもう毎年恒例だしね♪ 定番物の強みというかこれに参加しないと学園祭って気がしないし♪ 今年も楽しませて貰いました!」
 月島・眞子(トゥルームーン・b11471)も楽しみにしていた常連のようだ。
「思えば人生、何がメインになるか分からぬ、味の深い物でござるなぁ。それがしの学園祭は、第一回で「しりとり大会」に出逢い、以後は毎年のグラップルに向けて語彙を磨くことに費やされてきたことよ」
 第1回からの常連、巣霞・野露(鋏角野伏衆・b32975)もまた、この企画を楽しんで参加していたようだ。
 その後も、一つ二つ単語を告げた拓海は、時間が遅くなりつつあるのに気付いた。 「わ、もうこんな時間!」
 時間を忘れて、熱中するなんて、奥深い企画だ。
 拓海の心は決まった。
「ねえ、団長さんはいるかな?」
「私ですけれど……」
 きょとんとした顔でやってくるのは、団長の横倉・心美(小さなたまご・b51575)。
「クライマックスしりとりを、審査員特別賞に認定しますっ! おめでとう!」
「えっ? えええっ!?」
 初めは驚いていた心美だったが、しばらくして心が落ち着くと、いつもの笑顔がそこにあった。
「6代目の団長として向かえる「しりとり同好会」6回目の学園祭。私でも大丈夫かな? ……と不安でした。でも団員さんが支えてくれて、沢山のお客様が来て言葉を繋いで、心を繋いで……今年も楽しいしりとりが続いて嬉しいです」
「ずっとずっと、続けていってね!」
 拓海はそう、エールを送るのであった。

●そして、気になる1位は……毎年恒例☆学園祭☆生ラジオ!!
 元気なラジオ放送が流れる。
 その放送にふと、足を止めたのは、大谷・朱珠(糠星ノ妖狐・b70664)だった。
「思わず足を止めてしまいました」
 そのまま、近くの椅子に座り、放送に耳を傾ける。
 そして、彼女は最後まで聞いたリスナーの一人になった。

「おっしゃ、最後の最後まで燃え続けるぜッ! 投票結果がどういう結果になろうと構うもんか。仲間が一緒なら、今回はどこまででも放送続けられそうな気がするよ。リスナーのみんな、今夜も眠らせないぜッ!」
 そう熱くラジオで語るのは、ぼいすかつどう同好会の一員、創流・鉄彦(疾奏重鋼・b13579)。
「これが最後だと思うといささか寂しいモノがあるな」
 感慨深く、ラジオに耳を傾けるのは朔夜・煉(鍾馗・b00476)。だが、今年も楽しませてもらったらしく、笑顔が綻んでいる。
 実はこのラジオで二組のカップルが成立していた。
 一つは蒼井・加奈(目指せ素敵なおねーさん・b75538)と辻村・崇(蒼き牙を持つ幼き騎士・b63628)。
「え、えへへ。ラジオ中に告白を受けたからお返事もさせてもらったの……MCの皆さんありがとなのー」
「ぼいすかつどう同好会の生放送は、お客さんからの投稿を元に学園祭を盛り上げるインターネットラジオ放送です。僕はそこで憧れの女の子に告白することが出来たんだ。本当にありがとうございました!」
 加奈はすごく照れた様子で、崇はものすごく嬉しい顔でそう感想を伝えた。
 そして、もう一組は……。
「投稿を使って明日香に愛の告白をした。告白の結果はOKで、結果として結婚することになった。まさかうまくいくとは思っていなかったからな」
「ラジオから彼の告白を聞いた時、本当にびっくりしました。そのままOKを出しちゃって、そのまま結婚することに。17日に入籍することにしました」
 金田・祐一郎(ソウルブラザー・b03703)と真島・明日香(恋する乙女・b32736)は、幸せそうに微笑んでいる。

「みんな昼から深夜までどうもありがとう!! ラジオはみんなのおかげで成り立ってます。入賞できたら、後夜祭放送もよろしく!!」
 そう如月・清和(魔導特捜ザンガイガー真・b00587)は、しっかりとありがとうの気持ちと今後の宣伝をしていた。
「お客さんだけど、MCでお邪魔してたのですよ! ひにゃも頑張ったけど皆もファイトしましたよねっ! ラストだから、一杯いっぱいのアクシデントにも勝てました!」
 その言葉通り、天雅・雛愛(水葬の蟲・b16873)もラジオに出演していたようだ。

 皇・亜衣璃(高校生妖狐・b41395)はきょろきょろとあたりを見渡して、誰もいないことを見計らって、その箱に投票した。
「早速投票ダヨー!」
 ついでにぱんぱんと手を合わせておいた。
 その後に、櫻坂・光杞(白き夢の痕・b15882)も投票しておく。
「おつにっしょん」
 後夜祭放送の為に。

「いやあ、何故か名前呼ばれてましたしね。ラジオお疲れ様です」
 少し照れた様子で、櫻坂・嬉音(黒の煌く夢・b31604)は、ラジオに向かってぺこりと頭を下げる。
 一方その頃、別の場所でも。
「毎年恒例、今年も笑わせてもらったよ! パーソナリティのみんな、収録したみんな、いっつもお疲れ様!」
 ラジオの向こうの皆に向かって、紫雨・未玲(お気楽思考の魔弾術士・b17742)は元気いっぱい、手を振った。


 さて、企画を廻るのも、これでラスト。
 拓海は気を引き締めて、放送室の前に立った。
 そおっと、放送室の扉を開き、拓海は放送を続ける団員達に手を振った。
 はっきり言って、終わるまで声を掛けられないだろう。
 拓海は白い紙を見つけ、それに書いた。
『人気投票、1位おめでとう!』

(「さすがに………休憩なしのぶっ通し生ラジオは疲れたかなぁ。でも、たくさんのリスナーさんが聞いてくれて本当に嬉しいな! さて、サブパーソナリティとしてあと少し、頑張りますか! きよさん、最後までよろしくね!」)
 そう、相棒の清和に目配せした、団長の元橋・小道(羽唄・b01646)。しかし、清和は、別の方向を指さしている。
(「ん? 何かな?」)
 そこを振り向くと、笑顔の拓海とそして……。
「みんな聞いて、大ニュースっ!! 僕らの学園祭☆生ラジオが人気投票1位を取ったよーっ!!」
 小道は、ラジオでいち早く、その嬉しいニュースをリスナーに伝えたのであった。