<リプレイ>
やっほ、卒業式の榊ちひろだよ♪
今日も良い天気だね。こんなに暑くなると、かんべんしてーって感じだよ。
あまり暑いと食欲も無くなってだらぁ〜っとなりそうなんだけど、こういう時こそ、しっかり食べて体力をつけなくっちゃね。
夏バテ予防は、しっかり食べてしっかりダンスしてしっかり眠る事だよねっ!
それじゃ、そんな夏バテ予防にぴったり、グルメストーリートベスト3を発表するよっ!
さてさて、今年の人気投票の結果は、どうなるのかなっ! たっのしみー。
●第3位〜軽食ろうげなすか
まずは、第3位に輝いたグルメをご紹介っ!
豪快で独創的な炭酸ドリンクで評価を得た、軽食ろうげなすか さんです!
それじゃ、はりきって、行ってみましょう。
「ごめんくださーい。評判のドリンクというのを紹介してくれますか?」
メニューにある飲み物は、
カリスト、トビアス+グレイプニル、レッドダイナマイト、突き抜ける浄化サイクロン、リフレクトココア、伯爵、イズモタケコドモダケ、判っちゃうもの、田中校長などなど。
とりあえず、リフレクトココアがココアの一種なのは予測できるけど、それ以外は、良く判らない。
「あぁ、そのメニューに拘る必要は無いぜ。俺は、悪路王イメージのノンアルコールカクテルを即興で作って貰ったしな」
「この店はのぅ、こんなやつとお題を言うだけで料理を出してくるんじゃ」
迷っていると、お客さん達が親切にそう教えてくれた。
だがしかし、そう言われると、何故かメニューから試してみたくなるのが不思議。
「それじゃ、この、田中校長をお願いしするよ」
田中校長といえば、運動会の応援歌の審査をしているので有名だけど、昔は学者だったとかトラック運転手だったとか言われてるからね、どんなものが出てくるか、正直、想像が付かない。
「田中雄大ね、ちょっと待ってな」
注文を聞いてくれた、店員さんがオリジナルカクテルを用意してくれる。
クラッシュアイスに、まずは豆乳を投入。その後、チョコシロップをかけて、アイスを乗せたノンアルコールカクテルのようだ(学園祭でアルコールが入ったら大問題である)。
一口飲むと、マイルドな口当たりが口腔に広がった。
「チョコはビターでロマンスグレーの香りを出して、アイスはミントアイスだね、スッキリして美味しいよ」
そう感想を言うと、店員さんも満足そうな表情を見せてくれた。
だから、その店員さんに、こう伝えたんだ。
「あっと、忘れてた。軽食ろうげなすかさんは、グルメストリートの第3位に入賞しました! おめでとうございますっ!」
あっ、ビックリしてる。
これって、最初に言わなきゃだめだったんだよね。てへぺろ。
なんか順番が後先になっちゃったけど、少しビックリして、その後祝福を受けていた店員さんが嬉しそうだったから、まぁいっか♪
じゃ、次の店に、行ってみよー!
●第2位〜和風喫茶「こきつね」
あの後、ろうげなすかさんで、美味しいお肉も食べさせて貰ったりして、やってきました第2位の店っ!
まだまだ、お腹に余裕はあるからどんと来いだよね。
それじゃ、第2位の店は……。
前回の轍を踏まないように、店の中で発表しようっと。
お店の扉をガラッと扉をあけると、
「いらっしゃいですの♪」
と迎え入れられたので、さっそく、発表だね。
「おめでとうございますっ! この和風喫茶「こきつね」さんが、グルメストリートの第2位を獲得しましたっ! さっそくインタビューとかお願いするよ」
「こんこ〜ん?」
びっくりしたような店長さんのおめめが可愛いかった。萌える。
そして、店長さんは、すぐに嬉しそうに照れ笑いしてインタビューに答えてくれた。
なかなか、できた店長さんのようだ。
「えへへへ〜♪ 準備に時間が無かったですけど頑張っていますの! 意外と人が居て楽しいですの♪ 私の手作り料理を「美味しい」って言われて嬉しいですの! もっと皆に食べて欲しいですの♪」
きっと、この娘は良いお嫁さんになるだろうね。
近くにいたお客さんも、あたしの感想に同意してくれたのか、
「冷たいラムネとツナおにぎりをいただきました〜。料理も美味しかったし、にぎやかな雰囲気が良いよね」
「ここのおにぎりはすげー。一個どれも60円なんだぜ!?」
と、情報をくれた。
どうやら、美味しいだけでなくコストパフォーマンスにも優れているらしい。
「それじゃ、折角だから、きつねうどんとこきつね手作り稲荷寿司セットでお願いするよ。食後の飲み物はラムネでお願いね」
お客さんや様子を見に来たお姉さんに褒められて嬉しそうな店長さんが、さっそく作ってくれたきつねうどんと稲荷寿司。
美味しい。
これは、あれだね、金毛九尾さんにも振るまってあげたいね。
仲良くなる切っ掛けになるかもしれない。
そう感想を言うと、店の人はみんな笑ってくれた。
うん、良い雰囲気の店というのは本当らしい。
最後にラムネをシュワッと飲み干して、和風喫茶「こきつね」さんを後にする。
「こんこ〜ん♪」
そんな声に見送られながら。
●審査員特別賞〜小さなカフェ北海道
さーて、それでは、栄光の第1位の前に、審査員特別賞の発表を行うよ。
審査員特別賞は、あたしの独断と偏見になるのかな。
でも、投票結果も一応参考にしているから、そのあたりは安心してね。
「ということで、現在、あたしは美味しい香りに誘われて、小さなカフェ北海道の前に来ているよ。やっぱり、食は北海道にありだよね」
うん、間違い無い。
試される大地と言われたりもするけれど、食べ物のおいしさは日本一だからね。
カフェの扉をあけると、中には美味しそうなタレの香りが鼻孔をくすぐった。
「はいはーい、いらっしゃいませですよ。あら、ちひろクンいらっしゃい」
「こんにちは。今日は、グルメストリートの表彰で来たんだよー」
「あらあら、もしかして、優勝とかしちゃったのかな?」
「やー、そこまではちょっと、審査員特別賞なんだよ」
「ということは、ちひろクンが選んでくれたんだ」
「その通り。やっぱり、美味しいは正義。美味しいと言えば北海道だね!」
団長さんと、そんなやり取りをしていると、店員やお客さんも集まってくる。
お客さんは、お勧めの料理をいろいろ教えてくれるけど、鮭のちゃんちゃん焼きは、今の時間はやっていないらしい。
少し残念だけれど、ここは、ジンギスカン丼とちゃんちゃん焼きピザを注文してみた。
ラーメンサラダも試してみたかったけど、サラダとは名ばかりで、冷やし中華と同じく、充分に一食分のボリュームがあるらしいので、今回は諦める。
ちゃんちゃん焼きピザとどっちにするか、かなり迷ったけどね。
「んーまーい」
臭みが全く無くて柔らかいジンギスカンの肉に舌鼓をうち、ちゃんちゃん焼きピザも一口食べる。
スモークサーモンに味噌ソースが香ばしいが、やはり、本物のちゃんちゃん焼きが食べたくなった。
そのうち、本場に食べに行こう。
すると、食後にとろ〜り牛乳プリンが差し出される。
「これはサービスさせてもらうよ。せっかく特別賞に選んでもらったしね」
「んー。プリンも濃厚うまー。牛乳から違うんだよね、牛乳から」
「それじゃ、牛乳バニラアイスも食べてみる?」
「いやー、なんか催促しちゃったのかな? でも、ありがとう」
その後ありがたくアイスも頂いてから、あたしは小さなカフェ北海道を後にする。
やっぱり、北海道最高だね♪
●優勝〜デカ盛り喫茶sole FINAL
さ〜て、それではお待ちかねっ!
いよいよ、グルメストリートの第1位の発表だよーーーっ!
まずは、お客さんの声を聞いていきましょう!
「中華鍋で作るホールケーキ。レシピが謎なのも楽しいです、ね」
「来たなデカ盛り! 何気に毎年楽しみにしてたり。今年でFINALなのは残念だけど、その分楽しませて貰うぜ♪」
「ホットケーキタワーとオレンジジュースを注文しました。何枚も積み重なったタワーと苦闘しつつ、店員と雑談。厨房の深淵を垣間見てちょっと恐れおののいたりしてました。タワーは、しっかり完食。ごちそうさまでした」
「通常の10倍サイズの巨大稲荷寿司を食べる。もっとも、耶子の大食い胃袋の前では、これが普通サイズ。ついでに狐の人形焼きも頼んだが、調理中に何やら厨房から狐の叫び声が……」
などなどなどなど。
つまり、要約すると、今年の1位は、学生の胃袋の味方、デカ盛りの店という事だ。
「それでは、第1位の発表、いくよ! ミュージックスタート!」
音楽に合わせて、第一位を讃えるダンスを踊ってみた。
折角なので、そのあたりにいたひとも踊りに誘う。
「ねぇ、踊ろうよ!」
恥ずかしがって誘いを断る人もいたけれど、今は学園祭。
しかも、銀誓館学園の学生達はノリがいいので有名だ。
「いぇーいっ!」
踊り終わった時には、多くの仲間とハイタッチをかわしていたくらい。
「ところで、これ、なんのパフォーマンス?」
途中から一緒に踊っていた若人の素朴な疑問に、あたしは端的に返答してみせた。
「これは、グルメストリート第1位の発表。そのまえの、祝福の踊りだよ」
「じゃ、これからそこに食べに行くんだ。俺達も一緒していい?」
「勿論! 踊った後はカロリー補給が必要だからね」
ということで、みんなで一緒に1位の店にいってみます。
「パンパカパーン」
あたしが扉をあけると、ノリの良い子が効果音をつけてくれた。
中にいた店員とお客さんが、ちょっとビックリしたようだが、すぐに得心したように笑顔で迎えてくれた。
(さすが、優勝常連の強豪の貫禄である)
「デカ盛り喫茶sole FINALの店員の皆さん、そして、お客の皆さん、おめでとう! デカ盛り喫茶sole FINALが、今年の学園祭グルメストリートの第一位となったんだよ! その栄誉を称え、何か食べさせて下さいな」
最後の一言に思わず脱力する店内。
が、そこはさすがに1位の店。すぐに、喫茶solaのエプロンをつけた女の子がわたわたぱたぱとやってくる。これは、可愛い。
さっそく、皆でメニューを見ていたが、注文を決める前に、
「この日のために用意したファイナルデカ盛りスペシャルパスタ【パスタ・ド・オロチ】。どうぞ食べていって下さいです」
店長のこの一言で頼むべきメニューが決まってしまう。
ここまで言われれば食べざるをえまい。
そして運び込まれた料理を見て、
「ぎにゃゃゃぉぉぇぇええええええええええっっっっっっ!!!」
とビックリした声があがる。
勿論、あたしでは無い。
一緒に来たダンス仲間の一人の声だ。
その叫びを聞いて、厨房の奥でほくそ笑んでいる店員がいるようだが、まぁ、それは問題無い。
聞くところによるとパスタ・ド・オロチは14倍メニューであるらしい。
そして並んだ7枚の大皿。その内容は……、
火のオロチは真紅のペペロンチーノ(辛そう)。
水のオロチは、流し素麺風(なぜ素麺?)。
闇のオロチは海鮮イカ墨スパ(黒い)。
樹のオロチは山菜&梅の和風パスタ(ヘルシー)。
光のオロチは特盛トコロテン(もはや麺ですらない)。
雷のオロチは雷おこしトッピングのスイーツパスタ(その雷なの?)。
そして最後の、カリストオロチは、謎ソースの謎パスタ(とても怖い)。
圧倒的なボリュームが、目の前に展開された。
宇宙を覆い尽くす宇宙怪獣のごとき存在感だ。
というか、14倍メニュー×7皿は、つまり、98倍メニューといえるだろう。
(「98倍って普通に考えると、友達100人連れてこないと食べきれない量だよね。でもさぁ、友達100人だと自分を入れると101人の筈なのに、富士山の上でおにぎりを食べるのはどうして100人なのかな? これって1人おにぎり食べれない友達がいるって事だよね。まさか、1人だけ仲間はずれだなんて……」)
っと、ごめん。
あまりの量の多さに、一瞬、精神が吹っ飛んだみたい。
とりあえず、精神を修復して、きちんと挨拶をしなければねっ♪
「それでは、皆さん、デカ盛り喫茶sole FINALさんの栄誉を祝して、皆さん、拍手をお願いしますー!!」
わぁわぁパチパチー。
そして、あたしは、手を胸の前で合わせて、こう言った。
「いただきますっ!」
そう、これから、あたしはグルメという名の戦いに挑むのだ。
でも、大丈夫。
私には強い味方が居るのだから。
あぁ、本当に、店に入る前に仲間をあつめておいて本当に良かった。
あたしは、神に感謝した。
それから30分後。
「ゲプゥ」
あたし、やったよ。8人前くらい食べたよ。
残りの90人分は、みんな、よろしくねっ!
それじゃぁ、取材に協力してくれたみんな、ありがとう!
今年もお疲れさまでした〜!
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