瑞月・千歳 & 瑞月・百実

●二人だけのサンタクロース

 ふわふわと、雪が積もっていく。
「わぁ! ちーちゃん、ちーちゃんっ! 雪だよっ!」
「うん……すごい雪だね……」
 百実の言葉に、思わず千歳は呟く。
 窓から見える光景は、一面の銀世界。
 百実はにこっと笑みを浮かべ、千歳に耳打ちした。

 冷たい外。
 雪はまだ降っている。
「外は寒いね」
「でも、楽しいよっ!」
 さっそく、百実は雪玉を作り始めた。
 そして、ころころころころと転がし始める。
「手伝うよ、もも」
 百実の手に、千歳の手が重なる。
「ありがと、ちーちゃん」
 二人は笑みを浮かべて、ころころ大きな雪玉を作り上げた。

 二個目の雪玉を協力して、なんとか大きな雪玉の上に乗せる事に成功した。
「ところで……もも、何をつくるの?」
「えっと、サンタクロース!」
「……だから、3つめの雪玉を作っているの?」
「うん、これが袋になるのよ」
 ちょっぴり疲れているが、楽しげに笑う百実を見ていると、自分も楽しくなっていく。
「じゃあ、もう少しがんばるか」
 千歳も手伝って、今日3個目の雪玉も無事に完成したのであった。

 ぺたぺたと雪を盛っていく。
 帽子のふわふわの部分。
 おひげの部分。
 ボタンの部分。
 優しげな瞳の部分……。
「で、できたーっ!!」
 百実が歓声をあげながら、雪だるまの周りを楽しげに走っている。
 雪だるま作成を始めて数時間後。やっとサンタクロースの雪だるまが完成したのだ。
「お疲れ、もも」
「ちーちゃんもお疲れ様」
 にこっと微笑みあい……同時にくしゃみをした。
「そ、そろそろ部屋に戻ろう、もも。冷えてきちゃったし」
「ずず……。うん、そうだね。厚着にしてきたんだけど……ちょっと冷たくなってきちゃった」
 後で写真撮ろうねと百実が提案する。
 その提案に千歳も頷く。
 楽しいクリスマスは、まだ始まったばかり。
(「ももの笑顔が見れたから、頑張ってよかった……」)
 幸せそうに微笑む百実の姿に、千歳も幸せそうに微笑むのであった。




イラストレーター名:ヤトアキラ