●聖なる夜に、二人は結ばれて…
クリスマスイヴの夜、御守は直矢の部屋の前に立っていた。クリスマスらしくサンタガールのコスチュームに身を包んで、ちょっとだけ緊張しながら、深呼吸を繰り返す。
顔が、赤くなる。でも……。
意を決して、御守は彼の部屋のドアをノックした。
「……えへへ、来ちゃった♪」
「ああ、そう……だな」
ドアを開けてくれた直矢に恥ずかしそうに言えば、直矢も照れ隠しのように、ちょっぴり視線を逸らしながら頬をかく。
こうやって過ごしていると、なんだかドキドキして。
互いの胸の音が聞こえるんじゃないか、なんて思いながら、御守は直矢の視線の先へ移動する。
「あのね、四堂さんにプレゼントがあるの……」
じっと彼のことを見上げて。その瞳を見つめながら、そう御守は切り出す。
プレゼントなんて言っても、それらしき物は何も持っていない。ここにあるのは、ただ……1つだけ。
「こ、このドレスは包装なのっ! あ……あたしが、プレゼントなのっ」
「えええっ!?」
その言葉に、直矢はこれ以上ないくらいに驚いた。
全身の隅々にその意味が行き渡って、顔が……全身が、熱くなる。
それが意味するものなんて、1つだけだ。
好きな子から、そんなことを言われて、平気でいられる男なんて……いる、はずがない。
「俺だって……男なんだぞ……?」
彼女からそんなセリフを聞いて、我慢できるはずが無い。
気がついたら、御守の体を押し倒して、そのまま彼女の唇にキスしていた。
「……本当に、いいんだな?」
「うん……」
確かめるように問えば、小さく頷きながら、脱がして、と声が返る。
あとはそのまま、互いの服に手をかけて……。
明かりの消えた暗い部屋の中で、ただ、お互いの温もりだけを、感じて――。
直矢はそっと、優しく御守の髪を撫でた。彼女が今、こうして腕の中にいる。その事実がたまらなく嬉しくて、本当に自分は幸せ者だと痛感する。
「……えへへ、幸せー♪ ……ふふ、四堂さんの鼓動が聞こえる」
その感触に笑みをこぼして、御守は直矢の胸に顔をうずめる。
こみ上げてくるのは、ただ愛しいという気持ち。
その気持ちは溢れ返って、無意識のうちに口から零れ落ちる。
「四堂さん……好きっ♪ 愛してるっ」
「うん……俺も、御守を愛してる」
そっと唇を重ねれば、2人分の幸せが広がっていく。
(「彼女を……この温もりを……絶対、護ってみせる……」)
直矢は、御守を抱きしめる腕に力を込めて、もっともっと強く抱きしめた。
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