アウレリア・ディンブラ & 紅涙・りりす

●Merry X'mas at onc time

 今日はクリスマスイブ。
 そういえばと、アウレリアは一通の招待状を手に取った。
 学園で見かけたりりすの事を思い出したのだ。
「紅涙様にも、招待状を送らないといけませんわね」
 けれど、今から送っても当日には間に合わない。
 ならばと、アウレリアは、急いで出かけていったのであった。

 最近、なんだか周りの人間が騒がしい。
 だが、俺には関係ないことだ。
 そう、りりすは思っていた。
「少しお時間を頂いてもよろしいですか?」
 アウレリアがそう尋ねてきていた。
 つまりは、用事があるから来て欲しいということらしい。
 俺に構ってくるうっとうしいやつだ。
 気は乗らなかったが、用事があるのなら仕方ない。
 彼女の提案に乗ることにした。

「もうすぐクリスマスですので、良ければきてくださいまし」
 そう微笑み、りりすに招待状を手渡すのはアウレリア。
 アウレリアが渡した招待状は、クリスマスパーティーの招待状だった。
「……招待状?」
 りりすはそれを受け取り、眉をひそめる。
(「気にくわない」)
 いらだつ心のまま、りりすは渡された招待状を二つに破った。
 そして、アウレリアの横を通り過ぎていく。
「おまえを殺す」
 そう、りりすはアウレリアの耳元で囁いて。
 残されたアウレリアは、驚いてりりすを見るものの、追いかける事ができずにいた。

 というのも、今は過去の話。
「今日はそういう事があった記念日ということで、ケーキとプレゼントをおくれにゃが」
 りりすはそういって、アウレリアのところへやってきていた。
 そこには、美味しそうなケーキとお茶が用意されている。
「お待ちしておりましたわ、紅涙様」
 そういって、アウレリアはりりすを席へと座らせる。
「プレゼントはお帰りの際に、お渡しいたしますわ」
「ん」
 美味しいケーキに、りりすは幸せそうである。
 今日は楽しいクリスマス。
 アウレリアは嬉しそうに、りりすのカップに美味しいお茶を注いだ。




イラストレーター名:汐ヶ原みずき