●【真夏の青い海で】メリークリスマス♪
寒い日本のクリスマスは、コレまで沢山経験してから、たまにはもっと違ったクリスマスを満喫したいと、玲樹が樹里を誘った先は南半球。
場所はオーストラリアの海岸。
雪の降る北半球のクリスマスとは正反対。
みんな海岸にクリスマスツリーを持ち込んだりして、思い思いにクリスマスを楽しんでいる。
海岸ということでもちろんみんな水着姿。けれどもそんな中、サンタクロースだけは北も南も関係なく、相変わらずの赤い長袖の衣装で、汗を掻きながら海岸線を歩いていた。
「じゃ、僕達も何か食べようよ」
玲樹が指し示すのは海岸に持ち込んだ玲樹特製の料理。もちろん樹里も手伝った。
「僕が作った料理だから、まじゅりんに食べさせてあげる♪」
「ちょっと、恥ずかしいね」
真夏の太陽の下、水着姿の二人は太陽も恥じらうほどに仲睦まじく、「あーん」と、食べさせ合う。
お腹が一杯になれば、目の前は広く日本とは違った色を見せる海にダイブ。
日が沈むまで存分に、遊んだ。
夜になれば海岸に立ち並ぶ家に飾り付けられた、イルミネーションがまたたき始める。それだけ見ていれば日本とあまり変わりがないような感じがする、が、空には北半球ではみられない、南半球だけで見られる珍しい星座が浮かんでいる。
イルミネーションよりも、南半球でしか見られない星空を見上げる二人。
「あれがサザンクロス! 僕、初めて見たよ!」
光る星を指差す玲樹。もちろん樹里も初めて。
日本で見るのと同じ星空に見えるのに、その瞬く星は全く日本で見るもの違う。
その星空に魅入ってしまう。
「たまには違う雰囲気のクリスマスも良いでしょ?」
南十字星が海の上で瞬く。
聞こえるのは静かに寄せては返す波の音だけ。
周りには誰もいない。二人きりの海岸。
玲樹はそっと樹里の体を抱き寄せる。樹里もそのまま玲樹にもたれかかるように体を預ける。
まるで何かに誘われるかのように、二人の顔が同時に動いた。
すぐそこにいる相手の顔を見つめる。
無言のまま見つめ合えば、樹里が静かに瞼を閉じ、玲樹がそのまま顔を寄せて優しいキスをする。
重なる二人の上で、南半球の星空が瞬いていた。
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