神谷崎・刹那 & アイリス・ローエングリューン

●C'est au sujet de l'amour eternel a vous ici.

 聖夜に白い雪が降っている。
 せっかくのホワイトクリスマス。だからちょっと寒いのは我慢して、テラスに机を並べて、椅子を二つ用意する。
 テーブルの上には温かい紅茶と、ささやかながらクリスマスのお菓子。
 ゆっくりと温かい紅茶を飲みながら、儚げに舞い落ちる雪を眺める。

 雪を見ながら話すのは今年一年の事。いろんな事が起こった。ひとつ話せばまたひとつ思いだし、話はつきない。
 過去の事を話しているうちに、今度はこれからのことに想いを馳せて……会話は、楽しげに続く。
 話したいことが沢山ありすぎて、後から後からいっぱい出てきて。会話はつきることがなく、いつまでも終わりが見えない。

 そうして、時計が午前0時を指した。
 刹那とアイリスは、予め用意しておいた指輪を交換する。
 アイリスが開けた小さな箱の中からは、薔薇を模した金細工の指輪が出てくる。アイリスはその指輪を、刹那の左手の薬指にそっとはめる。
 今度は刹那が小さな小箱を開けた。中には、エメラルドがはめ込まれた金細工の指輪が入っている。刹那も指輪を取り出すと、アイリスの左薬指に、そっとはめた。
 相手の指に指輪を嵌めるとき、二人とも少しだけ指先が震えて……でも、相手が嵌めてくれた指輪が何よりも嬉しくて。互いに言葉もなく、ただ左手の薬指で輝いている指輪を見つめる。
 姉妹な二人だけれど、こうして指輪を交換すると、なんだか恋人同士みたいでドキドキしてくる。
 目を合わすなんて、普段なら気にも留めずに行っていることなのに、今は何故か気になってしまって、目の前の相手と、ちゃんと視線を合わせることが出来ない。

 雪は、相変わらず降り続けている。
 さっきまで合わせられなかった視線が、ふっと交差すると、二人とも微笑み会う。
 紅茶が冷めてしまったのなら、新しい紅茶を用意すればいい。だから、まだまだ話し足りない会話の続きをしましょう?
 だって、夜はまだまだ長いのだから。




イラストレーター名:笹本ユーリ