●初デート?
「クリスマス、一緒に過ごしてくれませんか?」
そういって誘ったのは、クリスマスの前日。
OKがもらえて、颯は嬉しくて、楽しみでたまらない。
だから、当日は……めいっぱいおめかししよう。
そして迎えたクリスマスの日。
「これから、門倉さんと一緒にだなんて……とっても楽しみだよ」
わくわくしながら、軽快に駆けていく。
時間よりも少し早めに出発した颯。
もうすぐ、彼女と出会える待ち合わせ場所にたどり着く。
「門倉さんっ!」
志津奈の姿を見つけ、颯はすぐさま抱きついた。
「颯、急に抱きついたら危ないぞ?」
「えへへ。だって、門倉さんが来てくれたんだもん♪」
約束の時間よりも早く来ていた事に颯は、嬉しく思う。
(「今度はもう少し早めにいこうっと」)
そう心に決めたかどうかはわからないが、こうして、二人は無事に合流を果たした。
「さて……何処にいく?」
志津奈に尋ねられて、颯は気まずそうにこう告げた。
「ごめんなさいです……どこがいいか決められなくて……門倉さんの行きたい所についていってもいいですか?」
そういう颯に。
「ああ、それはかまわないが……」
志津奈は少し思案して、提案する。
「ちょっと買い物に付き合ってもらってもいいか?」
「はいっ!」
そして始まる二人の時間。
二人は手を繋ぎながら、ショッピングモールへと移動を開始した。
手を繋ぐ颯の顔が、ほんのり赤く、幸せそうに。
数時間後。
買い物などを終えた二人はゆっくりと帰り始める。
気がつけば、外は夜。
ちらちらと雪も降り始めていた。
「長い間、付き合ってもらって、すまなかったな。……その、つまらなくはなかったか?」
心配そうに尋ねる志津奈に颯はにっこり笑って答えた。
「門倉さんと一緒にいられて幸せでしたから、無問題です♪」
その言葉に志津奈も笑みを浮かべた。
こうして、二人の楽しい時間はゆっくりと過ぎていったのであった。
| |