七瀬・愛理 & 風吹・水輪

●夏サンタのプレゼント

 赤い大きな靴下の前で、水輪は紙に願い事を書いていた。
 それは、サンタに願い事を書いておくと、プレゼントが貰えるという話を聞いたから。
 それにしても、子どもたちにプレゼントを配ってくれるとは、世の中には本当に素晴らしい人がいるものだ。願い事を書く水輪の目は、そうキラキラと輝いている。手元の紙に書かれた願い事は『次世代ゲーム機が欲しい』だった。
「べ、別に遊びたいだけなわけでないなるぞ?」
 誰かいる訳でもないのに、わたわたしながら言い訳を始める水輪。「ゾンビ倒すゲームとかをプレイすれば、世界結界の役に立つものなり!」と、自分をめいっぱい正当化しながら、紙を靴下に入れておく。
「サンタ殿は、手練の忍びなのかもしれぬであるな……」
 寝ている間にいつの間にか忍び寄り、プレゼントを置いていってくれる……。
 そんなサンタの事がとても気になる水輪だが、どうしても睡魔には勝てない。ちょっと眠いと思い始めたら、あとはあっという間に夢の中。
 もしかしたら、夢の中でサンタクロースに出会っているのかもしれない……。

 そんな、すっかり眠り込んだ水輪の傍に、1人のサンタクロースが現れた。
 それは夏仕様サンタのコスチュームに身を包んだ愛理だった。……外は寒いから、ここへ来るまではちゃんと暖かい格好をしてはいたけど。
 まあ、それはともかく。  愛理は抜き足差し足で、水輪の願い事の入った靴下に忍び寄る。紙を抜き出して内容を確認すれば、眠っている水輪の方を見て。
「結構現代っ子なんだなぁ」
 そんな感想を漏らしつつ、靴下の中に水輪が欲しがっていた物を入れておく。
 仕事が終われば、水輪の寝顔を覗き込む。本当に可愛い顔をして寝ているなぁなんて思っていると、また愛理がごそごそと動く。

「さーて、夏サンタさんは帰るかな!」
 何故だか行きよりも、ずっしり重くなっている白い袋。
 中には、眠り続けたままの水輪が入っている。
 愛理は「これくらいは役得役得……」と、鼻歌を歌いながら、袋を背負って帰路についた。




イラストレーター名:RAW