元橋・小道 & 紅月・愚焔

●寄り添って、雪だるま

「こりゃ結構積もったな」
 愚焔は思わず、目の前の光景に呟いた。降りしきる雪はその場所を白く埋め尽くしていた。
「ねえねえ、一緒に雪だるまつくろうよ!」
 先に提案したのは、小道。ごろごろと、雪玉を転がしていく。
「雪だるまか……この雪なら大丈夫そうだし、よし、やるか!」
 たくさんの雪のお陰で、泥などはつかないだろう。そう思った愚焔も小道に続いて、雪玉をごろごろ転がしていく。

「うぃしょっ……!」
 ごろりと、小道は大きな雪玉の上に、一回りくらい小さな雪玉を乗せた。
 次に顔を作っていくが……愚焔に似た顔にするのに苦労している様子。
(「ふへぇ……愚焔にそっくりなの作るのって難しいなぁ……」)
 眉をひそめながらも、がんばっている。
(「んー、小道は俺そっくりの作ってくれてるようだし、俺は小道そっくりなのを作るかな」)
 小道の様子を見つつ、愚焔も気合を入れて小道雪だるまを作成する。
(「……アレだ、俺の愛炸裂みたいな、寧ろ爆裂みたいな。俺の愛は100万ボルトだぜーーーー!!!」)
 ふと、愚焔は我に返る。
 小道を見るが、どうやら、気づいていないようだ。
 ほっとしつつ。
(「一瞬ピリオドの向こうへと意識だけ旅立っちまったぜ。取りあえず真面目に作るか」)
 愚焔は気を取り直して、雪だるま作成に集中する。

「見て見て! 愚焔にそっくり〜☆」
 そうして、二つの雪だるまが出来上がる。
 一つは愚焔が作った小道のゆきだるま。もう一つは小道が作った愚焔のゆきだるま。
「できたな。それじゃ、こうして……」
「え? 愚焔?」
 愚焔はできた二つの雪だるまをそっと近づけていった。まるで、寄り添うようにぴったりと。
 最後にぐるりと赤いマフラーを付けて。
「よっしゃー完成!!」
「愚焔、大好き☆」
 愚焔の気遣いに小道は嬉しそうに微笑んでいた。
「小道愛してるぜ〜」
 ぐりぐりと頭をなでて、笑顔で愚焔はそう答える。

 小雪は、寄り添った二つの雪だるまを見て、思う。
(「……いつか、この雪みたいに、僕らの気持ちも溶けちゃうのかな……。来年、愚焔は卒業して……学校が離れちゃう……。 愚焔カッコイイから、すっごく心配だよぅ……。僕のこと、ずっと、好きでいて欲しいな」)
 思わず、小雪は尋ねた。
「……愚焔……僕のこと……捨てないでね……?」
「んー? ずっとそばに居るって決まってるだろ?」
 その愚焔の言葉に小雪は幸せそうに微笑むのであった。




イラストレーター名:雑草サキ