●いつまでも一緒に、笑顔で元気に…
……クリスマスは、一緒にパーティしましょうデスの。
「あ、焼けましたデスの!」
チン、と音を立てたオーブンの方へ、ぱたぱたと走るレディ。その様子を「走ると危ないですよ?」と、耀はくすくす笑いながら見守っている。
楽しい楽しいクリスマス。
だから今は、2人だけでその準備。
メリークリスマスの垂れ幕を飾って、その周囲に折り紙の輪っかを繋げて作った飾りを吊るして。
部屋の真ん中には大きなクリスマスツリーを置いて、そのてっぺんに、お星様を乗せて。
机をセッティングして人数分のイスを並べたら、準備した沢山の料理を並べて。
それから……。
「いい色に焼けましたね」
「あとはデコレーションすれば完成デスの♪」
焼きたてのスポンジを取り出して、2人はそれを取り囲む。
クリスマスらしくトナカイの着ぐるみ姿になったレディは、焼き上がりに合わせて用意しておいた苺とクリームを使って、早速ケーキをデコレーション。
サンタさんの服のようなワンピースに着替えた耀と2人で、スライスした苺をたっぷりスポンジの間に挟みこんで。
ケーキを2段重ねにしたら、上からたっぷりチョコレートクリームをかけて。
「う、んと……んしょ……」
搾り出したクリームで、レディは一生懸命文字を描く。今日はP.M.ガーディアンズのみんなで過ごすパーティだから……だから、想いを込めて、その名前を。
そんな彼女の様子を、耀は優しげに微笑みながら見守っている。
「じゃあ、次は上を飾りましょうか」
「ハイですの!」
ふわふわクリームで、またケーキをデコレーションする2人。
一段落して窓の外を見れば、空から、ふわふわと白い雪。
「わぁ……」
思わず窓に駆け寄るレディ。
「他の方々、まだ来ませんデスかしら?」
うきうきで、わくわくで。
準備もいっぱい、いっぱい頑張って……だから、レディはいつしか、うとうとと眠りの中。
ぼんやりと半分眠ったような感覚の中、レディはそっと、体に毛布がかかるのを感じる。
「……そろそろ――」
(「え? なんて言いましたデスの?」)
ほんの少しだけ、どこか寂しそうにも見える微笑みを浮かべて、耀は扉の方へ向かう。
(「ああ、皆さんが……」)
そういえば、ノックの音が聞こえた気がする。
きっと、みんなが来たのだろう――。
「……レディ?」
不意に体を揺すられて、レディはまどろみから目を覚ました。
きょろきょろと周囲を見渡せば、そこは仲間達が集まったパーティ会場。
でも……耀は、いない。
「……レ、レディ、寝てましたのデスね。せっかくのパーティデスのに……」
くしくしと、目をこすって。
それから。
「……メリークリスマス、デスの!」
とびきりの笑顔を仲間達へ。
だから……だから、大丈夫。
そっと、そう粉雪の舞う夜空を見上げて、レディはみんなの方へ駆けて行った。
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