●今年も 来年も ずっと
クリスマスもそろそろ佳境に入ってくる。
茜はいつ渡そうかと、兄にプレゼントを渡すタイミングを考えていれば、もうこんな時間。
クリスマスが終わってから、クリスマスプレゼントを渡したってその価値はないだろうから。
茜はプレゼントを片手に、兄のもとへと向かう決心をした。
紫翠は沢山の感謝を込めて、弟に『有り難う』を伝えたいと思っている。
それは毎年思う、同じ事なのだけれども。紫翠が視線を向ける弟へのクリスマスプレゼント。それは毎年定番になりつつあるものだけれども、沢山の感謝は込めた。
「あのさ、これクリスマスプレゼント……」
「茜、いつも有り難う」
それは双子だからか、それとも仲良しだからか。
茜と紫翠は同時にプレゼントを相手へと差し出していた。
一瞬出来る空白。
お互いの顔と、差し出されたプレゼントを交互に見る。するとこみ上げてくる笑い。思わず二人は顔を見合わせて笑ってしまった。
「「メリークリスマス!!」」
沢山の笑顔を浮かべたまま二人は声を合わせて、プレゼントを交換する。
有り難うと受け取ったプレゼント。プレゼントはどんなものでも嬉しいけれども、今日はもっとなんか特別に思うのはなぜだろう。
嬉しい気持ちが一杯だから、すぐに包みを開けてお礼の言葉の後、お互いに見せ合う。
こんな平和なクリスマス。
これから沢山ケンカもするかもしれない。けれども今年だけではなく来年もこんな風に。そうして来年だけじゃなくて、その先ずっとこうやって笑い合っていたい。
貰ったプレゼントを手にして、後はふたりで ケーキを食べよう。
きっと普段よりも特別な味がするはずだから。
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