由良・和樹 & 沢村・伊那穂

●抱きつきIn Snow(JustAttack)

 クリスマスパーティーを思いっきり楽しんできた後、のんびりと帰る帰り道。
 このまままっすぐ帰ってしまうのは惜しいから、ちょっとだけ寄り道して帰る。
 立ち寄った夜の公園は、クリスマスらしくイルミネーションが灯っていた。公園のベンチに腰掛けて、今日の楽しかった出来事をおしゃべり。
 しばらく二人で楽しく話をしていると、空から白いものがチラチラと降り出してきた。

 冷えてきたなと思ったら、雪が降りだした。
 突然雪が降り出してきたことに、伊那穂の顔は嬉しそうな笑みで一杯になり、すっくとベンチから立ち上がった。
「雪だ。雪だ。雪だよーっ!」
 まるで童謡の子犬のように、雪を見て走り出す伊那穂。そんなはしゃぐ彼女を見て、「やっぱりかわいいなぁ」と走る伊那穂の姿をのんびり和樹が眺めていた。
 すると向こうで走っていた伊那穂が座ったままの和樹を見てから、和樹 に向かって走ってくる。
「一緒に走ろ!」
 にっこりと笑って片手を和樹に差し出す。
 ずっと座ったままで、眺めているだけの和樹が寒そうに見えたから、一緒に走ろうと誘ったのだ。和樹も伊那穂の誘いに乗り、差し出された手を握る。
 すると伊那穂は彼の体勢が整うのを待たずに、和樹の手を引っ張って走り出した。和樹も彼女と一緒に走り出そうとしたが、うまくいかずそのままつんのめってつるりと転んでしまった。
「いたた……急に走り出したらちょっと油断したかな? ん、大丈夫だよ」
 派手な音の後、転んだ和樹は腰をさする。
「えい、じゃすとあたーっく♪」
「い、伊那穂!?」
 転んだ和樹を助けないとと、片手を差しだそうとした伊那穂だが、助けるよりも抱きつきたい衝動に駆られ、転んだ彼の上にダイブ。突然の伊那穂の行動に、びっくりしながらも和樹は彼女の体を受け止めた。
「ふふ……しょうがないな」
 優しい笑顔で彼女を抱きしめる和樹。
 嬉しそうに抱きつく伊那穂。
 しばらく抱き合った後、和樹は彼女にキスを贈った。




イラストレーター名:白々白米