●さて手作りケーキのお味は?・・・
「私ケーキ作りははじめてですが、アリスさんなら作れますわよね?!」
「……私も……作った事はない」
「えっ?! アリスさんもつくったことないんですの?!」
ふたりでクリスマスケーキを作ろうと思った歌戀とアリスだが、作り始めようとして二人ともケーキを作ったことがないという事が発覚。
「そ、そうですわ! 一番簡単そうなデコレーションケーキにいたしましょう。美術の成績はいいんですわよ? 私」
だがここは気を取り直しそれならと歌戀の提案。
美術と家庭科が繋がるのかはよく分からない上に、簡単なものと提案したケーキはオーソドックスだが、その分奥が深い。
「スポンジくらいなら……卵と牛乳…砂糖…小麦粉?」
スポンジだけを焼き後は、生クリームで飾り付けるだけならと頷くアリス。
材料を指折り数えるアリスに、微妙な言い回しもあったりしたけど、作業台の上にケーキの本を広げ、早速作り始める。
「ちょ?! 砂糖いれすぎですわよ?」
「なんだか小麦粉がへんなかんじです」
「とにかく混ざれば勝ちですわ!」
計量しているのかどうなのかアリスがボウルの中に、大量の砂糖を入れようとするのを歌戀が阻止しようとしたが時すでに遅く、卵の上には真っ白な絨毯が広がっている。
その中へ、ふるっていない小麦粉を入れるアリス。
十分に泡立てていないところへ小麦粉をいれれば、さっくりふわふわするはずが、ねっちょりべたべたな感じになってしまう。
基本混ぜるのだから、ここは混ぜてしまえばきっと上手くいくと歌戀。
がっつり混ぜた後、型の中に流し込むとオーブンのスイッチを入れる。
焼きあがるまでの間に、デコレーション用の生クリームを泡立てておく。
焼きあがったスポンジはそこそこふくらみ、後はデコレーションするだけ。
「あ、アリスさん、ご自分にデコレートしてますわよ?」
「歌戀こそ……」
ここは腕の見せ所と張り切る二人。
デコレーションに熱中していれば、アリスの鼻の頭の上に生クリームがつく。それを歌戀がぺろりと舌で掬い取る。するとアリスもお返しにとばかりに歌戀の頬についたクリームを掬い取る。
クリームを豪華に見栄え良く飾り付けると、見た目にはとても可愛らしいデコレーションクリスマスケーキの出来上がり。
「完成ですわ!」
「はい」
「たべてみましょう」
「はい……」
その出来上がりに二人は嬉しそうに顔を見合わせて笑い、切り分けたものを一緒に頂きます。
一口食べたとたん、二人の顔から笑顔が消えていた。
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