●Under the mistletoe 2007 〜聖夜の恋人たち〜
この日だから欲するものがある。
言えなかった想いとか。
その想いを形にするとか。
クリスマスという魔法で、少しだけ色んな事が少しだけ特別になる。
この夏にヤマトに告白していた焦行。
そのまま二人はここまで、日々を積み重ねてきた。
想いは通じ合っている。けれども互いの立場の尊重をし合い、ムリな事は言えなかった。それはお互い様に。
そんな日々を重ねてきたから、焦行は今日という日の特別が欲しかった。
『二人の証』が欲しかった。
だからヤマトは焦行のその想いに行動で答えた。
「焦行さん……貴女への気持ちは、言葉だけではなく……行動で示しますよ」
ヤマトの妹の手助けもあり、無事にヤドリギで口づけを交わすことができた。
そっと密やかに交わす口づけ。
感じる互いの温かさ。
自分に体を委ねる愛しい存在をずっと護っていきたいと思うヤマトは。口づけの後、ぎゅっと彼女の体を抱きしめた。
優しい口づけの後、いつまでもずっとこの愛しい人の隣で過ごしたい。と、
抱きしめられてそれに応える様に彼の背に腕を回しきゅっと抱きつく焦行。
近い距離の顔と顔を合わせて微笑み合う。
とても穏やかな時間。
二人は手を繋ぎ学園を後にする。
ジンクスを素直に信じる訳じゃない。けれども『二人の証』を得られたから。
「先輩! 来年も、二人でクリスマスしましょうね!」
自然と幸せそうな笑顔をヤマトに向ける焦行が、そうはっきりと告げる。
ヤマトは黙って頷いて、繋いだ手を強く握り替えした。
繋いだ手がくすぐったくて、温かくて、とても幸せな気持ちにしてくれる。
魔法が掛けられたかもしれない、特別な日の今日。きっと何となくだけれども、この幸せがずっと続くような気がした。
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