●ミニスカサンタのラストクリスマス
学園内ではあちこちで色んな種類のクリスマスパーティーが催されていて、あちらこちらから楽しげな笑い声や、クリスマスソングなどが漏れ響く。
その中でもクリスマスというテーマに添ってそれぞれに好きな衣装などを着込んで、クリスマスパーティーを楽しむ教室はとても楽しそうで賑やか。
「お揃いやで、ゆーちゃん」
碧が持ってきたベアトップのミニスカサンタ姿に着替えた優希を見て、碧は嬉しそうに笑む。
優希はちょっと困ったようにはにかんで碧を見た後、ぎりぎりまで詰められたスカートの裾を少しでも長くならいかと引っ張ってみる。が、スカート丈が伸びることはない。
ベアトップのデザイン故に、出ている両肩も気になるし、スカート丈が短いのももの凄く気になる。というか、男の子なのに女の子のようにスカートを着ていることに戸惑いを覚えてしまうが、目の前の碧の嬉しそうな笑顔を見ると、困ったような笑みを浮かべるしかなかった。
そんな優希とは違い、碧はとても嬉しそうな笑顔で、優希の顔をのぞき込む。
「ゆーちゃん好きやでぇ、ゆーちゃんもうちの事好き?」
「えええ、好きだけど〜」
碧の言葉に、更に困ったような曖昧な笑みを浮かべて、首をかしげる優希。『だけど』とついてしまうのは男の子だから仕方ない。
はっきりと煮えかえらない優希の言葉に、ちょっと残念な気もするけれども、とほほほー。と肩を落とす優希のほっぺにチュー。
それは突然の出来事で、優希には予測できなかったこと故に、大きく目を瞬き驚いていた。
碧はそんな優希の様子を見つめながら、ほっぺにチューで我慢する。
おそろいのミニスカサンタのパーティーはまだ始まったばかり。
クリスマスケーキも食べていないし、ローストチキンだって早くしないとなくなってしまうかもしれない。
折角なのだから、美味しく頂かないと勿体ない。
お揃いのサンタの格好でこれからの時間を楽しむ。
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