●来年の計はクリスマスから
来年の旅行計画を立てるために、碧の部屋に集まった碧と命だったが……。
「碧、碧! こ、これはなんなんじゃー?」
きらきらと瞳を輝かせて、目の前にある様々なゲーム機器を見つめている。
リモコンのようなコントローラーを使うゲーム機だけでなく、他にも沢山のゲーム機器が30型の薄型ハイビジョンテレビに取り付けられている。
それだけではない。
おなじみの携帯ゲーム機もほぼ揃っているだろう。
もちろん、ゲーム機だけでなく、そのソフトも充実しているようだ。
以前に発売された定番のゲームソフトはもちろんのこと、最新のゲームソフトもばっちり完備されている。
まさに、ゲーム好きにはたまらない部屋といっても過言ではないだろう。
しかも、普段ゲーム機に触らない命の目から見れば、どれもが新しく新鮮で面白そうに映る。
ついでにいうと、奥には最新のデスクトップパソコンまで備え付けられている。
「みこっち。まずは計画立ててから……」
「これが、文明の利器というものなんじゃなー!」
そう碧を見上げる命に、碧はため息を零した。
どうやら、少し遊ばないと計画は立てられそうにないようだ。
その碧の考えは、甘かった。
「わらわの脳はこんなのじゃないのじゃ〜」
携帯ゲームについていたペン型スティックを持ちながら、命は叫ぶ。
「………」
その傍らで碧は黙々と、旅行計画の資料を眺めている。
「碧、見るのじゃ!」
今度は白い体重計のようなプレートに乗って、体を動かす命の姿が。
両手にはリモコンのようなコントローラーを持って、鶴の舞のような格好をしている。
「………」
碧はちらりとそんな命を見て、手元の資料を再び読み始めた。
「これはどうやって使うのじゃ?」
かちゃかちゃとパソコンのキーボードを叩きながら、命は尋ねる。
正直言って、命は遊んでばかり。
旅行計画は全くと言っていいほど進んでいない。
碧はふーーーーっと長い長いため息をついた。
まるで、そのため息は絶対零度のごとく。
「みこっち……おやつに焼き茄子食ぅかえ?」
その碧の言葉に命はびくりと怯えて。
「ご、ごめなさい……静かに遊ぶのじゃ」
涙をにじませながら、命はそう懇願した。
碧はまた、ため息をつく。
「結局遊ぶんやねぇ……まぁえぇわぁ」
立ち上がり、碧は命のためにおやつを用意した。
どうやら、今日は旅行の計画を立てるのは難しそうだ。
予定を変更して、二人で遊ぼうか。
おやつをテーブルにおいて、碧は今日の予定を変更するのであった。
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