●羽ばたけ!モーラットウィング☆
「さあ、いくよもんちゃん!」
「もきゅー!」
クリスマスの夜の街を、遥ともんちゃんが駆け抜ける。
屋根の上を駆け、思いきり蹴って次の屋根へ。
次々と飛びながら進む2人を、遮るものなど何も無い。
今宵2人はサンタクロース。
プレゼントを届ける先は……ゴースト!
「幸せな家庭をぶち壊す、悪いゴーストさん達にプレゼントです。悪夢という名の……ね!」
遥が剣を振るえば、朽ち果てた骸骨が崩れ落ちる。
「もきゅきゅっ!」
迫り来る妖獣の群れを、やる気を漲らせたもんちゃんのパチパチ火花が出迎える。
地縛霊の鎖を叩き切って霧散させれば、遠くにはまた別のゴーストの群れ。
「友の思いをこの身に刻み、皆の明日をこの手で守る。剣に乗せた誓いと共に、この世の悪をたたっ斬る! ですのっ。もんちゃん、遅れるなーですわ」
「もきゅっ」
再び駆け出す遥の言葉に、もんちゃんが力強く頷いて。
2人はまた、夜の街を軽やかに舞う。
(「こういうのも、ある意味デート?」)
ふと、遥はくすっと笑みを浮かべた。
チラッと視線をやれば、もんちゃんは力強い表情で、自分のすぐ後ろを飛んでいる。
いつしか一緒にいた相棒と、夜空を舞いながら過ごすクリスマス……これはこれで悪くない。
(「……それに」)
普段は、決してそんな事を表に出したりはしないけど、これでも、もんちゃんには感謝しているのだ。
今の自分があるのは、きっと、もんちゃんが居てくれたおかげ。
少しずつ力を得て、パワーアップしているもんちゃん。その進化が嬉しくて、そして頼もしい。
絶対に口にはしないけど、もんちゃんは大事な存在で……。
だから今日だって、どんな敵が出て来たって怖くない。
だって、もんちゃんと一緒だから。
あの日、最初に『もんちゃん』と名付けたその時から。
2人の間には、決して見えないけれど、でも確固とした強い絆が存在している。
「次のゴーストは、なかなか手強そうですわー」
これまでとは格の違いを感じさせるゴーストの姿。
でも、それだって2人を怯ませる材料になりはしない。
微かに視線を交わして頷き合うだけで、分かり合える。
……さあ、行こう!
――今宵は、クリスマスパーティ。
ゴースト相手に、ダンスを楽しみましょう。2人で――。
| |