●☆〜ハッピーホリディ〜☆
楽しい時間はあっという間に終わってしまうけれど。
抱える幸せはまだ、これから。
ふわりふわりと舞う雪が、長い金と銀の髪の上にも降り積もる。
冷たい雪。
二人にとっては、それは些細なこと。
似たような白のドレスに身を包み、パーティーを楽しんだ二人は、ゆっくりと家へと向かっていた。
大きなツリーに、綺麗なイルミネーションが彩りを添える。
そんなツリーを見つめながら、杏樹は隣に居る小瑠璃に話しかけた。
「今年のクリスマスパーティーも楽しかったわね♪」
「ええ、楽しい時間はすぐに過ぎてしまうって言うけど、本当よね」
もったいないくらいと、小瑠璃は付け加え、笑みを浮かべる。
杏樹も嬉しそうに頷き。
「本当。でも……もっと楽しみたいくらいが丁度いいのかも」
それならば、次が楽しみになるから……そう思いながら、ゆっくり歩き始める。
「そうかもしれないわね」
杏樹の隣で小瑠璃も、微笑みながら歩き出す。
ふわりとリボンが揺れる。
髪に飾られたリボンと、手に持っている贈り物につけられたリボン。
「プレゼント、何かなぁ?」
抱えるプレゼントを見つめながら、杏樹は呟いた。
「だめよ、まだ開けちゃ」
杏樹の抱えるプレゼントに手を添えて、小瑠璃は続ける。
「せっかくラッピングしてあるのよ。杏樹があけるまで……秘密♪」
「そう、しかたないわよね。楽しみにしちゃお」
ふと、杏樹は小瑠璃の手に持っている花束に目を向けた。
それは杏樹が選んだ素敵なプレゼント。
「小瑠璃へは、リクエストくれた薔薇を贈ったけど、ん〜似合うね。見てて私も幸せになれる色の花♪」
杏樹が贈ったのは、淡い桃色の薔薇の花。
「ええ、今日のハッピー気分にあわせたもの。ハッピーホリディ♪ メリークリスマス、杏樹」
「ハッピーホリディ! 小瑠璃。メリークリスマス☆」
幸せな時間に感謝を告げて。
二人の楽しいひと時は、家に着いても続くのであった。
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