風華・桜 & 近藤・十和

●☆。・゜・。ずっと一緒だよぉ。・゜・。☆

 シャンシャンと鈴の音を伴ったクリスマスソングが街中に設置されたスピーカーから溢れ出てくる。今日はクリスマス。
「〜♪」
 スピーカーから流れ出るメロディの一つを口ずさみながら桜は広場を駆け回る。
「大きなツリーだねぇ〜」
 ちょうどぐるりと回る桜の動きの中央にそびえ立つのは電飾で飾られた大きなツリー。ツリーだけでなく町中がイルミネーションで飾られ光の海とかしている。桜と十和がやって来たのは町の広場だった。
「ふぅ……」
 十和ははしゃぎ回る桜を見失わないよう少し遅れて後ろをついて行く。漏れる息は微笑ましいと思っての感嘆かそれとも苦笑故のため息なのか。白く曇る息は、風に乗って何処かへと流されて行く。
「ふぇ?」
「あ」
 ただ、風が運ぶのは白い吐息だけではなかったらしい。ふわりと風に浮いて舞い降りてきたものは二人の顔や手に触れると冷たさだけを残して溶けて行く。
 雪、よく見てみれば綺麗な六角形をした結晶は、クリスマスをホワイトクリスマスとするべく、徐々に数を増やしながらハラハラと舞い降りてくる。
「ふぇぇ……すごい……」
「すげー……」
 半ば放心しながら二人は幻想的な雪の乱舞を眺める。ちょうどイルミネーションの光に輝いて雪の結晶はキラキラと輝きながら次から次へと舞い降りてきた。
「っくしゅん」
 二人を現実に引き戻したのは小さなくしゃみ。
「あ、ホラ……」
 思わず十和は桜の方を振り向くと、小さく手を挙げる。
「寒いんじゃないのか?」
「ふぇぇ……」
 そう言い手招きをすれば、桜は鼻を啜りながらもとてとてと駆け寄ってきた。
「ったくー」
 十和はぼやきながらも駆け寄ってきた桜の肩を抱き寄せる。
「ふぇ……」
 一瞬驚いた表情をした桜が十和を見れば、照れているのか十和は無言でそっぽを向いていて、桜の視線は彼女のマフラーに移って動きを止めた。

「ふぇ……」
 たいした時間は流れなかっただろう。視線に気づいたのか、それとは関係ないのか。次の瞬間、十和のマフラーが半分ほどほどけて桜へとかけられていた。もちろんマフラーが勝手に動くはずがない。
「あったかいねぇ〜♪」
「ま、しょうがないなぁ〜」
 笑う桜に十和は照れを隠すように口の端をつり上げていた。町には相変わらずクリスマスソングとイルミネーションの電飾。音と光が溢れていた。
 それは雪の舞い散るクリスマスの町中、とある2人のお話……。




イラストレーター名:くま吉