●゜+. Feel so Happy .+゜
寒さでかじかんでいるのか、それとも緊張しているせいなのか指先が微かに震える。
彼の耳を飾る深紅。
自分の耳を飾るマリンブルー。
羽をモチーフとしたお揃いのピアス。
違うのははめ込まれた石の色だけ。
すぐそこにある相手の笑顔がとても嬉しい。
一緒に買いに出かけて、一緒に選んで、街角での二人だけの交換会。
あれやこれやと言いながら、選びあった後は、賑やかだった街を少し歩く。
街の喧騒を背中に受けて、煌くイルミネーションの中を歩いていく。
吐き出す吐息は白く、空気は冷たかったけれども、不思議と寒いとは感じない。
街の中心から離れたこの場所は、静かだった。
「メリークリスマス」
笑う直人に、少し照れる皐来。
買ったピアスは相手へのプレゼントだから、自分から相手の耳に飾る。
直人の耳。このピアスが一番映える角度を選び、丁寧に耳に深紅を飾る皐来。
「……凄く、イイ感じ」
小さく赤い石だけれども、その深い色は彼に良く似合い、思わず拍手していまいそうになる。
箱に掛けられたリボンを解き、今度は直人が皐来の耳にマリンブルーを飾る。
「ん、皐来、似合ってるぜ」
顔中に嬉しそうな笑みを一杯にして、皐来を見る直人。その笑みが嬉しくて、皐来も笑い返す。
「このピアスはこれからずっと付けてくんだ」
無邪気に言う直人。その指先が皐来が付けた深紅に触れると、皐来も耳にあるマリンブルーに触れる。
「……ずっとずっと、つけていきたい」
「隣に居てくれてありがとうな」
心を一杯にする幸福感。
目の前の愛しい人の笑顔が嬉しい。
直人の言葉に、皐来が今ここにいられる喜び。彼の隣に立っていられることへの感謝を心の中でする。
「ずっと、居られるますように」
皐来のその呟きは祈りにも誓いにも似て。
一対の翼を分けたふたり。
片翼では舞い上がれない。
だから二人でならどこへでも行ける様な気がする。
この胸いっぱいに広がる幸福が逃げないように、どこにも行かないように、ぎゅっと抱きしめる。
比翼の雫に、永久の絆を誓う。
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