●しっと戦士〜その終焉〜
聖なる夜。
それはこの日本では、まるでカップルのためのようなイベントとなっている。昼間から夜までデートを楽しむ沢山のカップルたち。そのどれもがとても楽しそうで、幸せに満ちあふれていた。
しかし『しっと団』にとって、この日は『聖戦』。
今年も沢山のカップルの邪魔をしまくった総統。どれほど撲滅できたかは謎だけれども……その総統といつも共に行動していた団員・恭平に、普段なら燃えたぎっているしっとパワーが足りない。
それには理由があった。
恭平には微妙ながらも、フラグが立っている女子がいたから。
事件はクリスマスになってすぐ起こった。
しっとパワー不足の恭平は、しっと団の制服ともいえる『しっとマスク』を着けられなかったのだ。
そして、事件は更に大きくなる。
『聖戦』の翌日。恭平に彼女が出来てしまったのだ。
これは、しっと団にあるまじき暴挙である。
しっと団の活動趣旨はアベック撲滅。そして、しっと団の鉄の掟は以下の通り。
・女の独り占めダメ(分かち合え)
・幼女に手を出すのはご法度
・煩悩と本能のままに逝け
ここから考えても、恋人をつくるなど言語道断。
掟を破ったモノには鉄の掟に従い、鉄槌が下される。
団員だからといって、恭平も例外ではない。
フルボッコは確定済みだが、恭平も元々はしっと戦死。ここは自らけじめをつけなければならないと、真似事ながら駄菓子屋で売っている短刀を腹に当てる。
「しっと団員としては終わってしまった俺だが……。この世に独り身ある限り、しっと団はどこかで永遠に生き続ける! まだ見ぬ猛者達よ、俺の屍を踏みつぶしていけ……! ジーク・しっと!!」
大きく最後の叫びを上げた後、駄菓子屋製の短刀を腹に突きつけた。
その背後から、プラスチック製の日本刀を総統が振りかざした。
「とりあえず神沢氏ね」
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