●Monochrome Christmas
薄暗い部屋の中、甘い香りが漂っている。
部屋の中央には、テーブルが置いてあり、その上にはクリスマスケーキが置かれていた。
灯されたキャンドルのほのかな明かりだけが、この部屋を照らしていた。
窓の外には、きらきらと点滅するイルミネーションの灯りも見える。
そんな中、シロガネと刹那は、二人きりのクリスマスを過ごしていた。
実は二人きりのクリスマスが今回が初めて。その所為か二人は互いに緊張していた。
互いを意識しすぎて、言葉が続かない。
「ケーキでも食べましょうか」
そういって、腰を上げたシロガネを刹那がふいに抱き寄せる。
刹那の背中はベッドの横に預けるように。
「な、何ですか、唐突に」
驚いたようなシロガネの声が刹那の耳に届く。
「せっかく二人きりなんだし、と思って」
どうやら、緊張していたのはシロガネだけの様子。
それとも、刹那がそう見せていないだけかもしれない。
にへらと笑みを浮かべる刹那にシロガネは続ける。
「何がせっかくですか……っ、何が」
「……シロ、可愛い」
刹那は幸せそうな笑みを浮かべて、シロガネに擦り寄る。
「……かわいく、ないです」
一方シロガネは、恥ずかしそうに頬を染めていた。
(「は、恥ずかしい人だなぁ……」)
そのシロガネの思っていることまでは、刹那にはまだ届かない。
ゆらゆらとキャンドルが揺らめく。
シロガネは、ためらいながらも、静かにそっと刹那に背中を委ねた。
そんなシロガネの背中を優しくけれど、力強く抱く刹那。
「……シロ、大好きだ」
素直にそう告げる刹那に。
「……俺も、すき……ですよ……」
シロガネも呟くような小さな声だったが、そう答えるのであった。
気がつけば、外では雪が降っていた。
シロガネはそっと振り返り、唇から少し外れたところに唇を重ねる。
「……メリークリスマス……」
照れくさそうにふわりと苦笑するシロガネ。
それを見た刹那がぽつりと呟いた。
「……シロって天然で誘ってるよな……?」
「!! さ、誘っ……」
刹那の言葉に驚くシロガネに刹那は、その唇を奪ったのだ。
「メリークリスマス」
「……っ!!」
シロガネは真っ赤になりながら俯いた。
二人だけのクリスマスはなおも続く。
シロガネと刹那が眠る、そのときまで……。
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