●クリスマスをぶっ飛ばせ〜ツーリング中の一コマ〜
ある夜。親しい先輩から呼び出されて、エドワードは楽しげに話しかけてくる。
「先輩、もうチキン食ったー? 俺もう食ったぜ!」
どうやら、エドワードの家は既に食事を終えた後だったらしい。
相変わらずのエドワードに陸王は思わず笑みを浮かべた。
「良かったな。でさ、エドー、今から暇かい? 良かったら、俺と一緒に聖夜の夜のクリスマスイルミネーションを見に行かないかい? 俺のサイドカーでさ」
既に陸王はバイクを準備していたらしい。
「今から、サイドカーでドライブ? えっと……ちょっと待ってて!」
ぱたぱたと携帯電話を取り出し、どこかへと電話をしている様子。
(「家に電話してんのかな?」)
陸王の思っている通り。
「遅くならなかったら、行ってもいいって先輩!」
家に確認してたようだ。承諾も得られて、陸王はさっそく、エドワードを乗せて出発した。
安全運転を心がけて、目的地へと。
「うわ、すっげえ、バイクでイルミネーションの中を突っ切るのって歩いてるのとは違うな〜」
サイドカーから、エドワードの嬉しそうな声が聞こえる。
「やっぱりクリスマスイルミネーションは、綺麗だね〜」
イルミネーションの側まで行って、陸王はバイクを止めた。
「今年最後の灯火ってやつかな?」
止めたバイクに腰掛けて、陸王もイルミネーションを眺める。
「来年は、俺も卒業か〜」
感慨深そうに陸王はその瞳を細めて。
「こうやって、エドと遊ぶこともなかなか出来なくなるのかな? 寂しいね………。出来れば来年もこうやって二人でクリスマスイルミネーションを見られたら、嬉しいな」
そう呟くが、エドワードには届いていない様子。
「あ、雪だー! ホワイトクリスマスだー!」
ヘルメットを付けたまま、嬉しそうにイルミネーションの側をくるくる回っている。
「そうだ、今年も最後だし、クリスマスプレゼントに兄ちゃんって呼んで欲しいな♪」
そんなエドワードを呼びとめ、そう提案する陸王。
「何、先輩? プレゼント?」
もう一度、陸王は、エドワードに先ほどと同じ事を復唱してあげる。
始めは戸惑っていたものの、最後には。
「えっと、えと……兄ちゃん」
照れたようにそういうエドワードを、陸王は嬉しそうに抱きしめるのであった。
バイクで見たイルミネーション。
そして、エドワードから貰った素敵なプレゼント。
陸王にとっても、エドワードにとっても、思い出に残るクリスマスになったのであった。
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