●やっぱり最後は…夢心地?
煌めく街の中をいき、向かったのはカラオケ。
「久し振りにゆめの歌も聴いてみたいしな」
と、来夢を誘ったユウマ。
デート、デートと嬉し恥ずかしイベントなのに、そのユウマの一言が更に恥ずかしいと思ってしまう来夢。
「ちょ、ちょっと恥ずかしいよぅ……」
そんなことを言いながらも、歌うことが好きな来夢は張り切って歌う。ユウマもそんな来夢が可愛くて、彼女が一生懸命に歌う歌に心地よさそうに耳を傾ける。
楽しい時間はあっという間に過ぎていってしまう。
クリスマスのイルミネーションが輝く帰り道。
来夢が小さな欠伸を何度か繰り返した。カラオケではしゃぎすぎたからか、ちょっと眠くなってくる。
歩く速度は次第にゆっくりになり、ユウマが話しかけても何となく怪しくなってきて、更に歩く速度がゆっくりになれば、来夢はうとうとと頭が揺れる。
けれどもユウマと帰りたいから……。
そういう思いがあった来夢だが、意識はそこで途切れてしまった。
来夢が寝てしまってもユウマは落ち着いているのは、それがいつもの事だから。彼女の寝顔を見ると、小さな笑みを浮かべて優しく姫抱きに抱き上げる。
ゆっくりと光が彩る道を家へと向かって歩いていく。
別に困った風もなく、ゆっくりと愛しい彼女の寝顔を慈しみながら歩いていけば、腕の中から聞こえてくる安らかな寝息に混じった寝言。
「大好きー」
「俺もだ」
「だきゅしたりして幸せ〜♪」
「そうだな」
寝息の合間に聞こえる来夢の寝言に、真面目にひとつずつ返事を返すユウマ。そのかわいらしい寝言に答えるように、時折来夢の頭をそっと撫でると、指先に彼女の柔らかい髪の毛の感触が心地よい。
ゆっくりながらにも、ユウマの足が立ち止まったのは、来夢が寝言の合間に幸せそうな笑みを浮かべるとそのまま、ユウマの首に抱きつくと、そのまま彼の唇に自分の唇を重ねたから。
それはユウマにも予想していなかった出来事。
けれども嬉しいサプライズ。
立ち止まった二人の姿を街のイルミネーションが、祝福するかのように照らしゆく。
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