●きみとホワイトクリスマス
公園にほのかな明かりが灯る。
キャンドルに照らされた公園は、いつもとは違う幻想的な世界へと趣を変えていた。
「綺麗だね、ユサ……」
キャンドルに火を灯しながら、琉姫はそう呟いた。
「うん、そうだね」
隣に居たユサも笑顔で応える。
キャンドルの灯りに照らされながら、二人はそっと、持ってきたプレゼントを取り出した。
「メリークリスマス。聖なるこの夜に、君といられることを嬉しく思うよ」
「う、うん、私もっ。……また、ら、来年も一緒に、過ごそうねっ」
二人はそういって、互いのプレゼントを交換する。
ユサが用意したのは、ルビーをあしらった蛍のペンダント。
彼が悩んで選んだプレゼントだ。
「気に入って貰えたら嬉しいな」
おずおずと琉姫が渡したプレゼントは、シルバーのネクタイピン。
「似合うかと思って……」
照れたようにそういう琉姫が、ユサの瞳には余計可愛く映る。
「ありがとう、琉姫」
「ユサも、その……素敵なプレゼント、ありがとう……」
と、交換したプレゼントの上に白いものが一つ、また一つと舞い降りてきた。
二人はゆっくりと上を見上げる。
「……雪だ」
「……綺麗だね」
夜空からふわふわと舞い降りる雪は、キャンドルの灯りに照らされて、淡い色に染まって。
雪はいくつもいくつも落ちてきて、寒さも感じるようになってきた。
懐かしそうな瞳で見ていたユサは、ふと、隣に居る琉姫に視線を移した。
琉姫の冷たい頬に、ユサの手が触れる。
「雪も綺麗だけど、ずっとここじゃあ風邪をひいてしまうね。身体が冷える前に、どこか暖かいところへ向かいませんか?」
そういって、ユサは頬から手を離し、その手を琉姫の方へと差し出した。
琉姫は驚きながらも、嬉しそうに微笑んで。
「うん……」
ユサの手に自分の手を重ねる。
暖かな手、繋がる想い。
幸せそうな恋人達が、喫茶店を出たとき。
彼女の首にはルビーの蛍が輝いていた。
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