ルファーレイン・クリストス & 砥束・英十

●暖かい贈り物

 楽しいパーティーもいつしか終わりを迎える。
 既に日は沈み、街では色とりどりのイルミネーションが輝きはじめていた。
「ヒデト見て、とっても綺麗ね……」
 帰宅途中のルファーレインは、足を止めて、隣に居る英十に声をかけた。
 彼女の目の前には、一際目立つ大きなツリーがあった。
「うん。これで雪でも降ったら最高なんだけどね」
 今はまだ、降ってはいない雪。
 けれど、二人の横を吹き抜ける風は、とても冷たくて。
 自分を抱くように、ルファーレインは身震いした。
「寒い?」
「少しだけ、ね」
 そういうルファーレインに英十は、そっと自分のコートを彼女の肩にかけてやった。
「あっ……ダメよ。ヒデトが風邪を引くわ」
「僕はレインが風邪を引く方が嫌だな」
 有無をいわせない英十の声に、ルファーレインはふと、何かを思い出した。
 本当は、家についてから渡すつもりだったもの。
 喜んでもらえるのなら、渡す時期が少し早くなってもいいかもしれない。
 そう思い、ルファーレインは手に持っていた袋から暖かいそれを取り出した。
「これ……」
「これなら、ヒデトも暖かいでしょ?」
 暖かい白のマフラー。それは、ルファーレインからのクリスマスプレゼント。
 ルファーレインはそのまま、暖かいマフラーを英十の首へとかけてあげた。
「ありがとう、レイン……」
「どういたしまして」
 下ろそうとするルファーレインの腕を、英十はそっと掴んだ。
「ヒデト?」
「プレゼント貰ったから、その……お返し」
 しゃらりと音を立てながら、その腕につけられたのは、銀色に輝くブレスレット。
「あ、その……本当は家で渡したかったんだけど……」
「ありがとう、ヒデト……」
 微笑むルファーレインに英十も嬉しそうに笑みを浮かべる。
 気がつけば、空からはちらちらと雪が降ってきていた。
「今年もホワイトクリスマスだね」
「ええ」
 二人は暖かいプレゼントを手に、ゆっくりと帰っていく。
 家族の待つ、暖かい家へと……。




イラストレーター名:寛斎タケル